大阪ミナミ飲酒暴走・控訴審初公判、即日結審
10月に高裁判決 犠牲者の母親「一審判決の事実誤認を正したい」
大阪・ミナミの繁華街で平成27年、飲酒運転による車の暴走で3人を死傷させたとして、
自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた大阪府高石市の無職白坂愛里被告(27)の控訴審初公判が8日、
大阪高裁(西田真基裁判長)で開かれ、即日結審した。判決は10月5日に言い渡される。
裁判員裁判で審理された昨年11月の一審大阪地裁判決は、
事故原因をアルコールの影響ではなくブレーキとアクセルの踏み間違いだと判断。
危険運転の成立を否定し、同法の過失致死傷と道交法違反罪を適用して懲役3年6月の判決を言い渡し、検察側が控訴した。
一審判決によると、27年5月11日未明、大阪市中央区の繁華街で飲酒後に大型のスポーツタイプ多目的車を運転し、
自転車に乗っていた同市浪速区の看護師河本恵果さん=当時(24)=をはねて死亡させたほか、2人に重軽傷を負わせた。
被告は当初、自動車運転処罰法違反の過失致死傷罪と道交法違反罪で起訴されたが、
遺族側がより量刑の重い危険運転致死傷罪の適用を求めて17万人以上の署名を提出。検察の補充捜査を経て訴因変更された。
恵果さんの母友紀さん(45)は8日の閉廷後、「一審判決の事実誤認を正したい」と訴えた。
2審も危険運転認めず 大阪高裁 ミナミ3人死傷酒気帯び運転
大阪・ミナミで2015年、飲酒運転で3人を死傷させたとして、自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪などに問われた
無職、白坂愛里被告(27)の控訴審判決で、大阪高裁は5日、同罪の成立を認めず、
過失運転致死傷罪を適用した1審・大阪地裁判決(懲役3年6月)を支持し、検察側の控訴を棄却した。
西田真基裁判長は、「発進後にブレーキを踏んだり、衝突前に自転車に気付いたりしており、飲酒の影響で正常な運転が困難な状態だったとは認められない」と述べた。
判決によると、白坂被告は15年5月11日未明、飲酒後に大阪市中央区の駐車場から出る際に
ブレーキとアクセルを踏み間違え、自転車に乗っていた河本恵果(けいか)さん(当時24歳)をはねて死亡させ、友人ら2人に重軽傷を負わせた。
大阪地検は当初、白坂被告を過失運転致死傷罪で起訴したが、
法定刑の重い危険運転致死傷罪の適用を求める遺族らの署名提出を受け、1審の公判途中で訴因変更した。
判決後に記者会見した河本さんの母友紀さん(45)は「危険運転致死傷罪は何のためにあるのか。
これでは飲酒運転がなくならない」と話し、検察に上告を求める意向を示した。
大阪ミナミ飲酒暴検察が上告を断念 「運転ミス」で判決確定へ 遺族「何のための法律なのか」
大阪ミナミで酒を飲んで車を運転し、1人を死亡させ2人に重軽傷を負わせた罪に問われた女の裁判。
危険運転は認められず、「運転ミスだ」とした判決が確定することになりました。
【亡くなった河本恵果さんの母・友紀さん】
「何も改善してあげられなくて、あなたの無念を晴らせなくてごめんねっていうことしか言えない。
被害者側にこういう風に思わせる司法と加害者に憤りを感じます」
おととし5月、大阪ミナミで暴走した車にはねられた河本恵果さん(当時24)が死亡し、男女2人が重軽傷を負いました。
ビールなど約1.6リットルの酒を飲み車を運転していた白坂愛里被告(27)は、危険運転致死傷の罪に問われました。
1審の大阪地裁は去年11月、「酒の影響は少なく、アクセルとブレーキを踏み間違えた運転ミス」として
危険運転を認めず、過失運転致死傷の罪で懲役3年6ヵ月を言い渡し、検察が控訴。
今月、大阪高裁も「1審の判断に誤りはない」としたため、遺族は検察に対し最高裁に上告するよう求めていました。
しかし、検察は「適法な理由が見出しがたい」として上告を断念。白坂被告に対する、過失運転での判決が確定することになりました。
【亡くなった河本恵果さんの母・友紀さん】
「(判決は)飲酒運転を軽視していると腹立たしかったし、司法がそういう風に考えていたら、飲酒運転は絶対なくならない。
解釈の仕方が私たちとは全く違う。法律の解釈をちゃんとして欲しい。プロの方に言うのは失礼だが、何のための法律なのか」
危険運転の適用を求め、17万人分もの署名を集めるなど2年5ヵ月にわたって戦ってきた遺族。裁判所はその思いを受け止めることはありませんでした。