2015年 8月 24日

暴走事故「危険運転」適用検討で補充捜査へ

大阪ミナミで3人が死傷した車の暴走事故で、飲酒運転をした女について
「運転ミス」と判断していた検察が、より刑罰の重い危険運転致死傷罪の適用を検討するため、裁判が延期になりました。

ことし5月、大阪ミナミの路上で河本恵果さん(24)が死亡、2人が重軽傷を負った暴走事故。

白坂愛里被告(25)は飲酒運転で一方通行の道を逆走していました。

事故原因について白坂被告は「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と供述し、
検察も「運転ミスによる事故」と判断、過失運転致死傷罪で起訴していました。

しかし、遺族は運転前の飲酒量が多かったことなどから「単なる運転ミスではない」と主張し、
より刑罰が重い危険運転致死傷罪の適用を求めていました。

24日の裁判では当初、被告への質問が行われる予定でしたが、
検察が危険運転の適用を検討するための補充捜査を行うとして裁判の延期を求め、裁判所がこれを認めました。
(また、9月7日第3回目公判予定でしたが危険運転適用を視野に捜査継続の為、延期も決定)

終始うつむいていた白坂被告ですが、延期が決定すると裁判官の方に何度か視線を移しました。

【亡くなった恵果さんの母親・河本友紀さん】
「まだまだ長い期間を要すると思いますが、まずは一歩一歩前進して良い方向に進んでいけるように。がんばっていきたい」

遺族はこれまでに、危険運転の適用を求め13万5000人もの署名を集めています。



2015.8.19 最高検への上申書提出後の
         記者会見の様子

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2016.7.18 北海道新聞


小樽市で女性4人が死傷した飲酒ひき逃げ事件から2年余り。小樽と同様、 飲酒運転 の事故で
危険運転致死傷罪の適用が当初見送られ、厳罰を求める遺族の署名活動を受け、 同罪に訴因変更されるという例が大阪にもあった。
同罪の適用基準があいまいで、検察の対応は揺れ、遺族をさらに苦しめる一因になっている。
「家族を失った上、なぜ検察にも苦しめられるのか」。大阪の遺族は小樽の遺族と同じ思いを抱いている。
「あの子の人生はこれからやった。すごく悔しい」。飲酒運転による事故で長女恵果(けいか)さん
=当時(24)=を失った 看護師 河本友紀さん(44)=大阪府和泉市=は声を震わせ、
恵果さんの遺品で、血の痕が残る手帳を開いた。

交際相手と結婚を約束したばかり。
母の背中を追うように看護師の仕事に就き、ようやく慣れてきたころだった。

恵果さんが事故に遭ったのは昨年5月11日未明。
大阪市中央区の繁華街を自転車で走行中、道路沿いの駐車場から飛び出した車にはねられた。
恵果さんは頭などを強く打って死亡。一緒にいた友人の女性も重傷を負った。

運転していた女が直前に飲酒していたことが分かり、大阪府警は 自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と
道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕。同法の危険運転致死傷容疑に切り替えて送検した。

3日後、大阪地検は運転ミスが直接の事故原因と判断し、過失致死傷罪などで起訴した。

「飲酒運転で事故を起こしたのに、単なる過失なんて納得できない」。

故から2カ月後、河本さんらは街頭で厳罰を求める署名運動を始めた。

大阪地裁は7月中旬に過失致死傷罪のまま裁判を開始。

報道などで河本さんらの運動を知った全国の交通事故遺族から、協力の申し出が次々とあった。
2003年に当時14歳の長女を亡くした空知管内南幌町の白倉裕美子さん(46)もその一人だ。

白倉さんは、小樽の事件で被害者遺族とともに署名運動を行った経験を語り、
訴因変更の必要性を検察側に強く訴えるよう助言した。

「過失運転のままでは遺族は絶対に納得できないと思い、支援を願い出た」と振り返る。
白倉さんは8月中旬には一緒に最高検を訪ね、訴因変更の上申書も提出した。

恵果さんの誕生日の8月24日に開かれた第2回公判で、
検察側は「訴因変更を見据えて補充捜査する」と宣言、 公判は中断された。
その後、正式に危険運転致死傷罪が適用され、 現在は裁判員裁判に切り替えるための公判準備手続きが進む。

署名は最終的に約17万人分に上った。

小樽の事件以降、 危険運転致死罪の適用をめぐって検察の判断が揺れるケースが相次ぐ。
旭川市でも今年5月、飲酒運転の乗用車とワゴン車が正面衝突し、
小学校教員中島朱希(あき)さん(38)が死亡した事故で、
旭川地検は当初、過失致死罪などで乗用車の運転手を起訴。

その後、遺族らの要請を受け補充捜査をして、危険運転致死罪に訴因変更した。

河本さんは「捜査機関は被害者の味方のはず。
なぜ遺族が検察の判断に苦しめられなければいけないのか」と訴える。
小樽の事件で被害者遺族代理人を務めた山田廣弁護士は「こうしたケースが続けば、
司法への信頼が揺らぎかねない。危険運転致死傷罪は被害者の声を受けて制定された法律。
検察は積極的に運用し、裁判所の判断を積み上げることで適用基準を固めていくべきだ」と話している。

(報道センター 大城道雄)