遺族に説明なく、   現場写真が法廷で公開

卒倒しそうになった。初孫の突然の別れを受け入れられずにいた祖父母は絶句し寝込んだ。
この裁判の争点は『速度』と『衝突位置』・・・・・
検察の主張は鑑定に基づき走行速度95km、被告は70km。
衝突位置は検察主張は反対車線、被告はセンターライン付近
裁判員制度を踏まえ『わかりやすい裁判』を突然繰り広げられた。
法廷は一般傍聴人などで全席埋まっている。

そんな中双方の主張は法廷に用意されたおおきなスクリーンに、生々しい事件直後の写真が
写しだされた状況で行われた。
次々出てくる現場写真・・・凄まじい血痕・・・・・遺族である私たちも全く聞いていなかった出来事。
侮辱するにも限度がある。
祖父母にも、傍聴人にも見られたくないものだった。私にも心の準備が必要だ。
被害者の想いなど全く無視した、法律家の暴挙に怒りは収まらない。


意見陳述制止の暴挙

意見陳述文書を、事前に裁判所に提出するように命令が出た。
なぜなのかは未だ不明だが、私たち夫婦と妹の意見陳述書を裁判前に提出した。
意見陳述に内容に制限は無いのに、『文書削除命令』が出た。
応じなければ意見陳述はさせないとの事。

仕方なく訂正し、再提出でOKが出た。さて、いざ意見陳述当日、開廷直前に検事から
「裁判所から削除命令が出ました」と言われた。開廷20分前の話。
怒りを検事にぶつけてはみたが、時間も差し迫っているからと不本意ながら
裁判長の命令に従い削除した。

妹の意見陳述は無事終了、母が意見陳述を読み上げ始めたとき
「被害感情以外言わないで下さい」と制止された。嫌がらせとしか思えない。
前もって許可を得た書面を読み上げているのに!!
被害者感情?それなら「死ね」「殺してやる」「美紗を帰せ」だけで終わりますよ・・・・
「何なの!それなら何を読めばいいのさ!!」とこちらも裁判官の突然の暴挙で怒り爆発。
検事もビックリしていた。{読んじゃっていいですよ}と
走り書きのメモを検事が示したので読みきった。

最後の意見陳述は父。母の意見陳述で動転したのか、
直前の削除命令箇所まで読みきってしまった。
未だに、前もって提出・許可を得た意見陳述の制止は怒り心頭。
法の番人の暴挙としかいえない。



公判前整理手続きの問題点

) 裁判では、この中で決められた「争点」だけしか裁判で審議しません。

2) 公判前整理手続きの内容を、被害者等が知ることは出来ません。

3) 裁判長・検察官・被告弁護人(被告も参加可)の3者が「密室」で決めた証拠以外を
裁判になってから出す
「後出し」は出来ません。
  裁判進行中に、新たな証拠が出てきても証拠提出や証人尋問の要求もできません。

4) 「公判日時」「公判回数」「証人尋問」「意見陳述日」「判決言い渡し日」の全てが
公判前整理手続きの中で決められてしまいます

5) 連日的開廷
   刑事訴訟法48条により、被害者等は「第一回公判」終了後から
裁判記録の閲覧謄写が出来ますが、開示まで数週間掛かります。
  連日的開廷では、捜査記録などを手にする前に裁判が終わってしまう可能性があります。
  
{捜査段階での早期調書開示が必要}
  実況見分調書や供述調書をみて事件内容の把握をしての「意見陳述」が出来ない可能性があります。
  その場合、意見陳述ではなく「感情論」となり、せっかくの意見陳述の権利行使の意味がありません。

6) 裁判の儀式化の懸念
  この制度を経ての裁判では、事件内容ではなく「情状面」で争いが繰り広げられる可能性もあります。
  本来、公開で行われていたことが『密室』で行われるため、知る情報量が少なくなる事が懸念されます。
  結果、事実認定など正しい、正当な審議が行われたのかチェックできません。

7) 密室審議による「司法取引」に対する懸念


公判前整理手続の不備に目を向けてください!!
どこまでも被告擁護な制度としか言えない。証拠の同意・不同意も全て被告主導で進むこの制度。
第一、わざわざ「非公開」にする理由がわからない。
公開でやることのどこに弊害があるか理解できない。

裁判員が入る公判の「わかりやすさ」と「迅速化」もいいが、手続きは公開で行うべきだ。
事件の流れを把握しないで、被告が否認している事柄のやり取りをしても
事件の全体経緯がわからないと、結局は国民の声ではなく、
裁判長の誘導的判決が連発する事が懸念される。
密室非公開なのだから、司法取引を疑われても仕方が無い裁判も起こる可能性もある。

裁判に至る経緯を非公開で行い、争点のみの審議。
遺族と変わらない情報量で、法廷に座る裁判員・・・・・
絞られた証拠で裁判員は人間を裁くことが出来るだろうか。
自分は恐ろしくて出来ない。たぶん裁判長の意見や判例に前ならえ!だ。
手続きも公開性で行うことが 透明性のある審議へと繋がっていくと思えてならない。



行われた裁判の日程

2006年
 1月27日 札幌地裁岩見沢支部は、突如「公判前整理手続き」適用を通知

 22日 「公判前整理手続き」の公正な運用に関連し、地検岩見沢支部に意見陳述についての
       上申書提出。

 3月6日 「公判前整理手続き」の公正な運用に関連し、傍聴席の確保についての上申書提出。
      「公判前整理手続き」による事前協議が非公開で開催
       1回目 2/23  2回目 3/23 ・・・ 4回目 5/18

 518日 札幌地裁岩見沢支部は、両親が美紗の遺骨を法廷に持ち込み共に公判を傍聴することを認める

 6月1日 札幌地裁岩見沢支部にて第1回公判 
      被告は、速度と衝突位置について否認
 615日 同第2回公判  
 622日 同第3回公判 
 76日  同第4回公判 
 713日 同第5回公判 
 727日 同第6回判決公判
      被告に禁錮3年執行猶予5年の不当判決 

 83日 札幌地検岩見沢支部は、量刑不当として、札幌高裁に控訴 
 1220日 札幌高裁にて控訴審第1回公判

2007年
 116日 同第2回公判 
 529日 同第3回公判 
 619日 同第4回公判

 9月 6日  同判決公判 
   札幌高裁は速度の認定を82.7キロとしたものの、暴走とは認めず、執行猶予とした原審支持の不当判決
 910日 上告を求める上申書を札幌高検検事長宛および最高検察庁へ送付。最高裁判所には判決不服申し立て書を送付。

 919日  札幌高検は、最高裁への上告断念を通告
 札幌高検に出向き、上申書の趣旨の上告を再度要請。北海道交通事故被害者の会(前田さん)も同席し、応対した野口検事に粘り強く要請したが、最終的に上告断念の通告。
同日夕、記者会見し不当な高検の姿勢とどこまでも被告有利の司法界について訴える