この事件は現場まで行き、葬儀にも参列してきました。
現場には事故の痕跡がはっきりと残っており、1.5kmも車に引きずられたご長男の血痕が
はっきりと残っていました。
その痕跡は何度も蛇行していて、引きずっている人を振り落とそうとしているようでした。
また、ここで車体から引きずり出したのだとわかる場所があり、そこは鬱蒼とした何もない場所で
夜は街灯も無いので、真っ暗だと思われそんな場所で人を引きずり離した加害者に恐ろしさを覚えました。
北海道・度重なる飲酒重大事故=日下部元美(北海道報道部)2015/7/16
危機意識、どの運転者も
3人が亡くなった北海道小樽市の飲酒ひき逃げ事故から約1年。
道内では6月、砂川市で家族4人が死亡する交通事故が起きた。
二つの事故の共通項は「飲酒運転」と「自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)」の適用。
危険運転致死傷罪が刑法に規定された2001年以降も飲酒運転は相次ぎ、
新設された自動車運転処罰法に同罪が独立して規定されるなどして厳罰化が進んだ。
しかし、繰り返される悲劇を前に、飲酒運転の抑止力として厳罰化だけに頼ってはいけないと感じている。
砂川の事故では、26歳と27歳の男2人が危険運転致死傷罪で逮捕・起訴された。
2人は6月6日午後、砂川市の国道12号でそれぞれ車を運転し、
100キロ以上のスピードを出して交差点の信号を無視。
1台が左から来た歌志内市の会社員、永桶(ながおけ)弘一さん(44)の軽ワゴン車と衝突し、
永桶さんら一家5人を死傷させたとされる。t
厳罰化の効果は下げ止まり続く
2人は事故前、市内で酒を飲んでいたとされ、テレビではこの飲食店の外観も放送された。
私が訪れた時、電話をしていた男性店主は受話器を置くと、「『人殺し』と言われました」と肩を落とし、
2人の飲酒については何も語らなかった。
こうした“世論”の反映か、インターネット上では2人を「鬼畜」などとののしる声があふれた
重大な結果を考えれば、決して2人を擁護する気持ちにはなれないが、周辺を取材すると、
妻帯者の被告は子煩悩な一面もあり、独身の被告は欠勤せず、解体作業の仕事に励んでいたことも分かった。
知人男性は「そこら辺の若者より真面目に働き、友だち思いだった」と証言。
もう落ち着くべき年齢だが、北海道弁で言えば、いまだに「おだっている」(調子に乗っている)青年だったのだろう。
小樽事件も同じだ。危険運転致死傷罪と道交法違反(ひき逃げ)に問われた元飲食店従業員の被告(32)は9日、
札幌地裁判決で懲役22年を言い渡された。
被告の恋人の証言によれば、「(被告は)明るく家族思い。運転が荒いという印象を受けたこともなかった」という。
判決によると、被告は酒を飲んで車を運転し、女性4人をはねて逃走した。
このうち3人が死亡した重大事故と証言のギャップに私は戸惑い、
なぜ軽率な飲酒運転をしたのか最後まで疑問が消えなかった。
飲酒運転を巡っては、女児2人が亡くなった東京都世田谷区の東名高速での飲酒事故(1999年11月)
をきっかけに厳罰化が進み、危険運転致死傷罪が新設された。
その後、同罪は自動車運転処罰法に移行され、適用対象も広がった。最高刑は懲役20年だ。
新設前の最高刑(同5年)から大幅に厳しくなった。
また、道交法の酒酔いや酒気帯び運転は最高刑や罰金額が引き上げられ、同乗者の罰則も設けられた。
これらの結果、99年は1257件だった飲酒運転の死亡事故が大幅に減少し、
07年は平成に入って初めて500件を割る433件となった。
ただ、08年以降は220〜300件で推移し、下げ止まりしている。
誰もがなり得る加害者と被害者 北海道は14年、飲酒死亡事故が全国最多の17件だった。
なぜ飲酒運転はなくならないのか。捜査関係者からは「土地が広く、飲食店と自宅が離れている。
公共交通の少ない地域も多く、自家用車への依存度の高さが影響している可能性もある」との指摘がある。
実際、砂川の周辺取材では「飲酒運転をしている人はたくさんいる」という声があった。
「交通事故調書の開示を求める会」副代表で、長女を交通事故で亡くした白倉裕美子さん(45)=北海道南幌町=は
講演などで「危険運転や飲酒運転への知識がない大人が多い。子どもの時から飲酒運転の危険性を学ぶべきだ。
想像力を持って、飲酒運転がもたらす結果を考えてほしい」と訴え、
誰もが飲酒事故の被害者にも加害者にもなり得ることを考えるよう求める。
「飲酒・ひき逃げ事犯に厳罰を求める遺族・関係者全国連絡協議会」共同代表の高石洋子さん(53)
=北海道江別市=も「北海道に限らず、実際は全国各地で事故が起きている。
身近で大きな事故が起きないと、危機意識を持てない『無関心』に問題がある」と分析する。
時として人は気が緩み、飲酒事故が引き起こす重大な結果を忘れてしまう。
加害者を一方的に「鬼畜」と批判する行為も、ある意味では「自分や周囲は大丈夫」という
油断の表れかもしれない。どうすれば、自分にも起き得る問題として想像力を失わずにいられるか、
私自身もまだ明確な答えは出ていない。
だが、厳罰化の効果が頭打ちとなり、次の一手が必要であることは間違いない。
北海道・砂川市で2015年6月、一家5人が巻き込まれ死傷した事故の裁判員裁判
札幌地裁 危険運転致死傷罪の罪などに問われた両被告に対して懲役23年の実刑判決
判決では「互いに車の速度を競うように高速で走行していたことは明らか」として、
危険運転の共謀が成立すると認定。
古味被告側は、衝突事故には直接関わっていないとして無罪を主張していたが、
裁判長は危険運転致死傷罪の共謀成立を理由に「事故は古味被告の運転にも起因する」などと退けた。
古味被告は判決を不服として、18日付で札幌高裁に控訴した。
この事故では、両被告が砂川市の国道で赤信号を無視してお互いの速度を競い合い、
時速100キロ超で市内の交差点に進入。谷越被告の車が、一家5人が乗った軽ワゴン車に衝突し、
後続の古味被告の車が路上に投げ出された長男を約1.5キロ引きずって逃走した。
軽ワゴン車に乗っていた他の4人は、3人が死亡、1人が重傷を負った。
5人死傷暴走、懲役23年確定へ 最高裁、危険運転の共謀認定
北海道砂川市で平成27年、車2台で暴走し歌志内(うたしない)市の
会社員、永桶弘一さん=当時(44)=ら一家5人を死傷させたとして
自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた
無職、古味(こみ)竜一被告(30)について、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は
上告を棄却する決定をした。懲役23年とした1、2審判決が確定する。
23日付。3裁判官全員一致の結論。
古味被告は無罪を主張し、谷越隆司受刑者(30)=同罪で懲役23年が確定=との共謀を否認したが、
2審札幌高裁は、車2台で競争して高速で交差点に進入し、
赤信号を無視する意思を暗黙に通じていたとして共謀を認定。古味被告が上告していた。
引きずられた16歳 砂川飲酒事故10年 記者が憤った市民の言葉
引きずられた16歳 砂川飲酒事故10年 記者が憤った市民の言葉 [北海道]:朝日新聞
2015年6月6日夜、北海道砂川市。新聞販売所で働く永桶弘一さん(当時44)は、家族5人でワゴン車に乗っていた。
青信号で交差点に入った時、2台の車が突っ込んできた。20代だった男2人は飲酒運転の上、
競い合うように100キロ以上の速度で走っていた。
弘一さんと妻(当時44)、長女(同17)、長男(同16)の4人が死亡、12歳だった次女が重傷を負った。
長男は男の車に約1・5キロも引きずられていた。
発生直後は原稿に追われ、3日後、初めて現場に行った。
車の逃走経路を歩く。四つの角を曲がり、長い直線やカーブを経て、たどり着いたのは、さびしい場所だった。
周囲には事業所が1軒あるだけ。車の通りは少なく、街灯も無い。
夜は闇に包まれるその場所に、16歳だった長男の昇太さんは放置された。
途中の道路には、引きずったような跡があった。蛇行し、何かを振り落とそうとしたことが想像できた。
事故を起こした2人の地元にも行った。夕方なのに、ほとんど人通りがなかった。
取材すると、こんな声が聞こえた。
「飲酒運転は悪い。でも、若い人なら遊びたい時もある。バスは早く終わるし、代行運転は高い。人口減の影響だ」
「冗談ではない」と思った。どんな事情があろうと飲酒運転が許されるはずがない。
当事者にならなければ、人の命を奪う危険と結びつかないのかとがくぜんとした。
事件担当を離れ、勤務地が変わっても飲酒運転の記事に関わった。
法律が厳しくなっても事故は繰り返され、大切な命が奪われた。
凄惨(せいさん)な事故現場や遺族の悲しみをもっと伝えなければダメなのか、記事を書く度、無力感があった。
あれから10年。再び道警担当になった。関係者の努力にもかかわらず、飲酒運転はなくならない。
迷いながら取材していた時、同僚が記事で紹介した道交通事故被害者の会代表の言葉が心に響いた。
「『つかまるから』ではなく、被害者を生まないために交通ルールを守ってほしい」
事故の概要
被害者の永桶さん一家5人は、長女の恵さんをアルバイト先へ迎えに行き、砂川市内の妻の実家で夕食を食べ自宅へ帰宅中。
自家用車が故障のため代車(勤務先の業務用車)の軽ワゴン車に乗っていた。
加害者の谷越龍司らRV車の3人と古味竜一は友人で、砂川市内柳町通りにある行きつけの飲食店などで酒を飲み、
滝川にある次の飲食店へ移動中、国道12号線で公道レースまがいの暴走行為をしていた。
同乗者を含む加害者5人が全員飲酒。
事故現場の信号あり十字路交差点で、青信号で進入した永桶弘一さん運転の軽ワゴン車の真横に
右手から来た赤信号無視の谷越龍司運転のRV車が猛スピードで衝突。
事故の衝撃で軽ワゴン車は真横に約60m飛ばされた。
軽ワゴン車に乗っていた永桶さん一家5人のうち運転していた夫の弘一さんと助手席に乗っていた妻の文恵さんが頭や胸を強く打ち即死。
後部座席から車外に投げ出された長女の恵さんも車体の一部などが体に突き刺さるなどして死亡した。
長男の昇太さんは事故の衝撃で開いた軽ワゴン車の後部ドアから車外に投げ出された。
投げ出された昇太さんを車体下部に巻き込み約1.5km引きずり死亡させたうえにそのまま逃走。
昇太さんの死因は司法解剖の結果、窒息死と判明し、
事故直後は生きていたが古味竜一の車に引きずられたことにより死亡したと見られている。
後部座席に乗っていた永桶さん一家の唯一の生存者である中1の次女 光さんは意識不明の重体。
事故時の谷越龍司運転の車と古味竜一運転車の走行速度は135km/h~150km/hで
交差点に進入したのは信号が赤になってから33秒後と思われ走行速度は、複数の防犯カメラ画像や、
目撃証言、事故車両の破損度合い、軽ワゴン車の飛ばされた距離などから解析した。
最初に事故を起こした谷越隆司被告を危険運転致死傷罪で起訴。
事故直後、赤信号だったがいけると思ったと話していたが、
事情聴取では物を取ろうとして信号を見ていなかったと供述。
逮捕後は青信号だった、100km/h以上は出していないと容疑を否認。
後続のひき逃げ 古味竜一被告危険運転致死傷罪で起訴。
事件の翌日に出頭したが、人をひいたとは思わなかったと否認。
飲酒運転がばれる、任意保険に入っていなかったから逃げたと供述。
危険運転致死傷 道路交通法違反 求刑懲役23年
札幌地方裁判所 (平成28年11月10日)
平成27(わ)532 危険運転致死傷、道路交通法違反被告事件
札幌高等裁判所 (平成29年4月14日)
平成29(う)1 危険運転致死傷、道路交通法違反被告事件
最高裁判所 (平成30年10月23日)
平成29(あ)927 危険運転致死傷、道路交通法違反被告事件
