凶悪・重大犯罪の公訴時効のあり方についての意見
(案件番号 300090013 )
交通事故調書の開示を求める会副代表
氏名 白 倉 裕 美 子
1,公訴時効改正に賛成
現在、公訴時効が設けられている理由に関して
「証人の記憶の信憑性」「証拠の散在」「被害者感情の希薄化」「社会一般の処罰感情の希薄化」
などが挙げられているが意見する。
・「証人の記憶の信憑性」について
事件の証人がいるのであれば、事件後記憶が確かな状態での調書作成が行なわれるはずであり、
何より、必ずしも証人等が裁判で尋問を受けるとは限らない。
事件直後に、捜査機関がしっかりとした調書作成を行うことで問題とはならない。
・ 証拠の散在
証拠の管理は、捜査機関の問題。意識の希薄さが引き起こす問題であり理由にならない。
徹底管理・指導を行えばいい。
捜査員人員の問題や証拠保管場所等についても、国民の8割が反対している裁判員制度開始に伴い投じた費用、
設備投資は莫大であり、そのような設備投資費は支出できていること、場所の改善・増築ができて、
証拠保管場所が無いなどと理由に挙げるのは、国の予算使途や取り組みに問題があるということであり、
このようなことは、公訴時効撤廃を妨げる理由にならない。
・被害者感情の希薄化
被害者感情と言うものは事件直後から日々の変化は生じるが、希薄化することは無い。
人間は「忘れる生き物」と言われるが、忘れることができることと時間経過により逆に増幅する感情もある事を理解すべき。
被害者感情が時間経過により希薄化しているように見えるのは、
被害者が社会生活の中で人に見せないだけである。イコール希薄化したと捉えることは、
真の『被害者感情』の把握に努めていない証拠。
・ 社会一般の処罰感情の希薄化
これは、裁判員制度を視野に入れての文言か?
自分に関係が無い事件に処罰感情自体を持って暮らしている社会の人間がいるのか疑問。
このような問題に「社会一般」などという言葉を用いることは、司法関係者のための、
議論のすり替えのために用意された、いわば逃げ道ではないか。
2.公訴時効は「廃止」
現在、時効発生中の事件においても同様に「時効廃止」にすべき。遡及適用に賛成。
事件は発生時期で、犯罪被害者に対する差が生じることは様々な法律・憲法においても反する。
誰もが平等であり保護される事は当然。格差があってはならない。格差があること自体に疑問。
一定期間逃げ切れば犯した罪の罰を受けなくてすむ「逃げ得」があることで、
犯罪者もその期間さえ過ぎればとの考えを持ってしまう可能性も否定できない。
例えば、その間には犯人が死亡していたとしても名前が公表され被疑者として、
被疑者死亡として事件に一応の決着を見ることは、被害者にとっても罪を犯した人間にとっても必要なことである。
科学の進歩、ITの進歩も考慮できる問題である
公訴時効制度がある限り、犯罪被害者は保護されるのではなく
「見放され、切り離され国に存在を抹消されるということが起こり続ける」と考える。
反面、逃げ切り日常生活を送っている人間を野放しにしている。
日本国は過剰に犯罪者に寛容で、手厚い保護に徹しすぎている。
逮捕されても手厚い保護法律の上、国が守る状況下の中、
犯罪被害者に対しては冷たく、追い討ちをかける公訴時効の存在を残すのはいかがなものか。
罪に問われずに一定期間が過ぎた犯人の社会関係などを尊重する、
などの理由を述べている識者もいるようだが、犯罪被害者から見れば論ずるに値しないほどの愚弁。
犯罪から逃げている人間に「社会関係の尊重」とは何事か。
逃げている間の苦労や思いを考慮しての言葉なのか?
逃げていることで社会生活を送っていないとでも言い切れる根拠があるのか。
犯罪被害者が、今現在において社会生活を満足に送れない状況を考えるべきであり、
犯罪被害者に対する心理をもっと考慮し、考えるべきではないか。
家族を殺されたものに「終わり」はない。そ
れを時間というもので一方的に「終わらされる」苦痛は計り知れない。
未決事件数を増やす結果=捜査機関の無能さを世間に知らしめる可能性があることから、
公訴時効を設けているのではないかという司法不信を持つ。
罪を犯した者は一生追われ、必ず罰を受ける制度とすべき。逃げ得を無くすためにも「廃止」すべき。
3.公訴時効廃止事件
人を死に至らしめた事件は、故意罪・過失罪問わず適用すべき。交通犯罪(ひき逃げ等)も当然含むべき。
4、刑と時効の問題
刑の時効で刑が施行されないまま一定期間が経過したときは刑の施行を免除するということ自体、理解できない。
訴時効撤廃し、付随して刑の免除制度も廃止の方向で論議を進めるべきではないか。
判決が確定したのにもかかわらず、刑が施行されないというのも、
犯罪被害者から見れば理解できない、納得できないものではない。
以上