2006年6月1日
 「第1回公判」

 事件から2年と9か月、ついに公判の日を迎えました。


美紗の遺骨と遺影を抱いて法廷へと入りましたが、極度の心労から先日緊急入院をしたばかりで
医者の許可を得ての車椅子での入廷となりました。

狭い法廷のため傍聴希望者の抽選も行われ、32席の狭い傍聴席は報道と遺族の関係者、
そして札幌方面や旭川から駆けつけた支援の遺族で埋まりました。

双方の冒頭陳述の後、証拠調べに入り、被告人質問が行われましたが、
トレーナー姿という場にふさわしくない軽装の被告は走行速度の95キロ、および衝突位置を否認するなど
依然不遜な言動を繰り返していました。
尊い命を奪っておきながら薄笑いを浮かべているこの男に人間の血は流れているのかという思いがよぎりました。

同時に、杜撰な初動捜査こそが、起訴まで2年以上、判決予定までおよそ3年と
不当に長引かせた要因であることも明らかにされました。

審理も初動捜査の問題が取り上げられることになりました。


公判前整理手続き適用のため、非公開で争点整理が行われ、
被害者遺族だけが蚊帳の外に置かれてきたという問題もあります。
今後の裁判には不安や懸念を抱いています。



2006年6月15日
 「第2回公判」


証人尋問:、紺井警察官 (当時、栗山署巡査部長)
 

初公判に引き続き傍聴席は抽選にもかかわらず今回も札幌や旭川から駆けつけて頂きました。
多くの方の支援の中、第2回公判を終えることが出来ました。

今回の公判では、警察の実況見分調書が不同意にされていたため、証人尋問と言う事で
当時の捜査員の尋問が行われたわけですが、まず、はっきりしたことは、警察の実況見分調書自体に
計測していながら書き入れるべき数値を記入していない事等が明らかとなりました。

初動捜査のやり方や調書の作成方法に、問題があるのではないかと言う事です。
結果的には、同意となったのですが、被告の指示説明の部分に付いては争うとのことです。
警察自体、もっと根本から改めなければいけないことが明らかになった証人尋問でした

当初私たち遺族には「見ていないし知らないから、確認していない」といっていた17.4mの直線ブレーキ痕や
バウンドして印象されていた11mのブレーキ痕をなぜ事件と無関係と決めつけたのか。

事故当日に捜査員が直線ブレーキ等に気付いていたのであれば、すぐにでも被告を呼び戻し
実況見分を行い、逮捕出来たでしょうし、美紗の飛び出しと報道されることもなかったでしょう。

「自分からトラックに飛び込んだ自殺」などと町中の噂になったことも、
警察の杜撰な「事故処理」で傷ついた美紗の名誉や私たちの苦しみを知るべきです

相も変わらない、驚くほどの軽装で、まるで他人事のような顔で、
大股を開き、偉そうに被告席に座り、反省の色ひとつ無い被告に反省は皆無です


2006年6月22日
 「第3回公判」

証人尋問:山崎鑑定人

今回は、検察側証人として、
鑑定を行った山崎俊一氏((財)日本自動車研究所 主席研究員)の尋問が行われました。

争点の制動開始前速度と衝突角度について鑑定人への尋問ということでしたが、
弁護側の反対尋問には本質的な部分での追及はなく、有る意味些細な修正を求める尋問に終始していました。

何を言いたいのか聞きたいのか、理解できない被告人弁護人の質問に疑問符ばかり浮かびました。

尋問で明らかになったのは、ブレーキ操作前の速度が少なくとも90キロ以上ということが疑えなくなったことで、
被告が70キロと言い張っていることや衝突態様なども根拠のない言い逃れであると証言されました。

こうした理不尽な言い逃れの余地被告人を与えた初動捜査の不公正さと杜撰さも今後厳しく追及されなければなりません。
今回も美紗の遺骨と遺影を抱きかかえて裁判に見守りました。




2006年7月6日
 「第4回公判」

被告人質問  被害者遺族の意見陳述、求刑、結審

約3時間にわたって被告人質問が行われました。
被告人質問では、第1回公判同様、何らの反省もなく、自己保身の言い逃れの供述を繰り返す被告。
こんな不実の男の言い分のためにこれだけの時間を費やす意味があるのだろうか。
そして、物証に基づく厳正な初動捜査がなされていれば、
加害者にここまで言い逃れの余地を残すことがあり得たのだろうかという思いがあふれました

美紗が自転車で出てきた位置について、当初はわからないと供述していたにも拘わらず変えたのは

「記憶にはないが、(2年3か月後)起訴されてから写真や図面を見て、いろいろな人の協力のもと、
詳しい人の話も聞いて、(こうだろうと)判断した」

と、公判対策のつじつま合わせをしたことを吐露。

検察に遺族に謝罪するように言われ電話をした後の2年間、一切連絡がないことについて
「裁判で事故状況が明らかになれば謝りに行く」と開き直り。

鑑定結果の時速95キロ以上を否認し、被告主張の仮に70キロであっても死に至らしめた危険運転に変わりはない)

事件後、会社には直ぐ電話をしているのに救急車も呼ばず、警察へも連絡をしなかったことについて、

「事故状況がわからなかったから」

と全く不可解な言い訳に終始


会社の社長が事件当時、美紗の遺骨の前で「お前の飛び出しが原因」と暴言を吐いたことについては
その発言は「仕方ない」と調書で供述しながら、「言葉は思い出せないが、後で遺族に謝った。(謝られていません)
しかし社長には世話になっているので、自ら詫びてくれとは言っていない」と理解不能の言い訳ばかりでした



被告人質問ですが、正直、何と言っていいのかわかりません。
怒りも通り越し、呆れるという感情でもなく、無念さが強くこんな奴になぜ美紗は殺されなければならなかったのか、
この世からいなくなるべき人間は被告人ではないのかと思うほどに、
へらへらと薄笑いを浮かべ適当な証言しかしない証人尋問でした

「実況見分調書は警察官のでっち上げ、起訴後に事件内容を周りの人と相談して否認した。」という、
被告が作り上げた物語の為に、こんなにも長い時間振り回されてきたのか・・・と悔しさでいっぱいです。

 

2006年7月13日
遺族(次女・父母)3名の意見陳述 結審

求刑は禁錮3年

 

第5回裁判は、本当に許せない内容でした。

唯一遺族が当事者として正当に意見が述べられる場である意見陳述に対し、
裁判官が途中で内容変更を強制したことは極めて異例かつ許されない暴挙です。

母親である私が「美紗の名誉と尊厳のために裁判所は真実を解明して欲しい」と要望し、
遺族の処罰感情を述べるため事件の詳細と加害者の言動について意見を述べていた時でした。
岡部裁判官は突然意見陳述の制止をかけました。

「被告に関する処罰感情と、美紗に対する感情以外を述べるな」

と言い出したのです。
事件内容に触れることなく、感情を述べることなど出来ますか?

更に「被告とのやり取りについても、遺族調書に記載されいる以外の言葉を使うな」と言われました。
意見陳述は証拠ではないのですし、事件の内容に触れることなく言うのであれば意見陳述の意味が全くありません。

裁判官は「もし、法廷の場で言いたかったのなら、公判前整理手続きに付す前に、証拠として残しておけばよかったのだ」
と遺族に対し、無謀極まりない言い分で、圧力をかけてきました。

結果、意見陳述で一生懸命書いた許可が下りた陳述書をきちんと述べることが出来ませんでした。

裁判書類に、美紗の自転車の写真も一枚もなく、自転車の関する鑑定資料もありません。
その、指摘すら許されなかったのです。

公判前整理手続きで、途中で新たな証拠提出が認められないことは分かっていますが、
遺族として意見をして述べると裁判の証拠として出ていないことだし、公判前整理手続きに反する事になりかねないというのです。

この事件でどんな判決が出ようとも、証拠自体がまるっきり不十分な中での審議ですし、
真相解明を、望むことは不可能であり、裁判官に対しても、公判前整理手続きに付いても
強く批判していきたいと思っています。

中村、青野弁護士も信じられないと、大変驚いていました。

意見陳述文書は、事前に裁判所に提出するように命令が出ていました
なので、前もって意見陳述書を提出、許可が出ていました。

しかし、公判直前に検事から「裁判所から削除命令が出ていますので、そこは削除し読んでください」
と納得できない申し入れでしたが、いわれたのが開廷20分前の話です。

怒りを検事にぶつけてはみたが、時間も差し迫っているからと不本意ながら
裁判長の命令に従い削除仕方なく線を引き読まないようにし、裁判に出廷したのに信じられません。

「そちらが許可したものを読み上げているんですけど、何なんですか?」と裁判長に言っても今度は無言です。
検事が「読んじゃっていいですよ」というので、途中になった意見陳述書を読み上げました。

後から聞けば、制止の理由の一つが、事前に(被害者は蚊帳の外で)争点整理を行い
それ以外は審理しないという公判前整理手続を行ったからという説明を受けましたが納得できるはずがありません。
前もって裁判官の許可を得ている陳述書なのですから。

改めて公判前整理手続きが被害者にとって多くの問題を抱える制度であることが浮き彫りになりました。

そして極めつけは、裁判長に促されて発言した被告の最後の言葉でした。
何と被告は
免許は再取得します。これからも運転しますけど今度は人を殺さないように気を付けるので、
安全に運転することを反省と謝罪にしたいんですけど」と
述べたのです。


被害者遺族の気持ちなど微塵も考えず、逆なでするこの問題発言に、そしてそれを咎めることもしない
裁判の不公正に対し傍聴席から、「運転するな!二度と!」と声が飛びました

。岡部裁判官はこの「正当」な発言に対しては間髪を入れず
「発言は慎むように」との「不規則」発言。司法への信頼は地に落ちました。

求刑3年に対してと言うよりも、裁判自体が納得できない内容であり、全くの茶番劇です。
否認事件でデリケートだからと、意見陳述を認めないなど、言語道断です。


2006年7月27日
判決

判決公判を終えたわけですが、執行猶予判決に至った判決文が何より納得できず、即日検事に控訴をお願いしました。
横断を終え、反対車線で美紗をはねたことを認定しながら
「トラックが反対車線に行ったことは、不運だった」の一言で被告の過失を問いませんでした。

速度認定も、裁判官による再計算で出されたのですが、根拠のない摩擦係数を裁判官の独断で勝手に採用し、
科学的根拠のない数値を多々用い、鑑定士の鑑定を否定しました。

電柱を折損したときのトラックの衝突速度を0kmとするなど、信じられない速度認定です。
証拠や供述がある事実までを否定し、裁判官の憶測で述べられた判決文。

「制限速度28.8km以上超過は、被告の供述速度の範囲内であるから、暴走とは言えない」
という言葉には、馬鹿じゃないかと思いました。

法定速度は何の為にあるのでしょうか! 暴走とは何km以上の超過を言うのでしょうか!

ただの一度も謝罪も焼香もなかった被告が、裁判になり初めて謝罪の言葉を口に出したのですが、
それを「事故直後から不十分ながら謝罪を行っている」とした事も、裁判官の良識を疑います。

公判前整理手続きで、重要部分は全て決められることや、裁判官と被告とは手続き中から接触があることからも、
話の中で、執行猶予判決を初めから決めていて、それに合うようにこじつけた判決文が作られたように思えてなりません。

様々な部分から、公判前整理手続きには意見を出してしていき、制度を変えなければ
日本の裁判制度は大変な事になると思います。「不公平」な裁判が横行する事になるでしょう。

検察の控訴を期待するしかありませんが、今まで応援頂いた皆様には本当に感謝を申し上げます。
皆さんの支援は、本当に自分たちにとって大きな力です。

 美紗が横断を終え、反対車線で事件に遭ったことだけでも明らかになったことは
私たちの今後の活動に大きな力を与えてくれます。やっぱり、美紗は飛び出していませんでした!!