STV どさんこワイド179 特集
進まない交通被害者の救済
事故の原因は、死亡した娘ではなかった。
執念の独自調査で、娘の汚名を晴らした両親がいます。
2人のもとには、全国の遺族から助けを求める声が寄せられています。
その悲痛な声に耳を傾けると被害者救済のあるべき姿が見てきました。
日本最大の魚市場、東京・築地市場。
その一角にある運送会社に貼られた真新しいポスター。
今月から始まった、社内の交通安全運動のために作られました。
成人式の振袖姿で、「安全運転」を訴える女性。南幌町の白倉美紗さんです。
「(市場に)入ってきてすぐに、美紗に迎えられるというのが不思議な感覚」
南幌町から駆けつけた美紗さんの父親の博幸さんと、母親の裕美子さんです。
愛する娘の晴れ姿と、ポスターに記された従業員の安全への誓いの言葉に目がいきます。
「美紗にみんなが交通安全を誓ってくれてうれしい。
家の中に引きこもって仏壇の前にいなくても、美紗はここにいる」
美紗さんは7年前のこの日、交通事故でわずか14年の短い人生を終えました。
ポスターは、14歳の写真からイメージした20歳の美紗さんの肖像画です。
南幌町の交差点。事故はここで起きました。
自転車で登校中だった美紗さんがトラックがはねられたのです。
原因は、美紗さんの飛び出し。当初、警察はそう結論づけました。
警察の捜査に疑問を感じた白倉さんは、独自の調査に乗り出します。
トラックと自転車の傷から衝突の状況を探り、
路上に残された血液などから、美紗さんが倒れていた場所を特定しました
「一語一句聞き逃すことなく、聞いてきたいと思います」
娘の最期を知りたい。
その執念は捜査機関を動かし、運転手の男が起訴され有罪判決を受けました。
さらに、その後の民事裁判では、運転手の過失が95%と認められました。
美紗さんが悪かったはずの事故。
の責任のほとんどは、運転手側にあったと判断されたのです。
「警察の捜査の不備を表に出せたこと、
それから、自分たちのやってきたものが一部であっても
認められたことはしっかりと美紗に報告できる内容だと思っています」
このとき、事故から5年半の歳月が過ぎていました。
今月2日、白倉さんは和歌山県に住む交通事故の遺族を訪ねました。
新名甲太郎さんと妻の実津代さんです。
新名さんの二女、はるかさん。
はるかさんはおととし7月、18歳でこの世を去りました。
アルバイト先から自転車で帰宅途中、交差点で乗用車にはねられたのです。
事故の目撃者はなく、警察は運転手の話をもとに、
はるかさんが赤信号で交差点に進入したことが事故の原因だったと判断しました。
「事故の真実、本当のことを知りたい。
どういう事故だったのか、本当のことを知りたい」
しかし、弁護士事務所などを訪ねても、相談に乗ってくれる人は見つかりませんでした。
そんなとき、インターネットを通じて知ったのが白倉さんでした。
「たぶんこの人だったら、自分たちの気持ちを聞いてくれるやろ。
何かしてくれるやろと、どんどん進んでいった」
新名さんは白倉さんの協力の下、
警察に保管されていた実際の事故車両と自転車を使って事故の様子を検証しました。
そして、捜査の矛盾点を指摘し、検察に更なる捜査を求める上申書を提出したのです。
この結果、和歌山地検は事故から2年後、運転手の男を起訴しました。
しかし、今月2日に出された判決は新名さんたちを失望させました。
望んだ実刑判決はかなわず、裁判所が認めた事故の内容も警察の調書のままでした。
「加害者の調書通りに動いていて、本当の事実は…。
判決が出て言いたくないがちょっとがっかりしましたね」
「(真実はわかりましたか?)…」
加害者側の話を中心に進む捜査と、置き去りにされる交通事故の遺族たち。
「自分たちが経験してから月日が流れていて、
色々と被害者(支援)の制度もできているはずなのに、
何でまた、うちと同じことが起こっているんだろうなって。
結局、色々な被害者に目が向けられているといいながら、実情は変わっていない」
進まない被害者支援の一方で、変わったこともあります。
白倉さんの体験をもとに交通安全に取り組んでいる築地の運送会社では、
取り組みを始めた去年、交通事故が4分の1に減ったといいます。
この日、会社からは感謝の盾が贈られました。
「我々は立場的には常に加害者になる立場なので、
運転手、それから従業員みんなの心の中に、
事故は決して起こしてはいけないという思いを強くしました」
「加害者にならないということは被害者を生まないということ。
本当に自分たちのような人を作ってはいけないし、
社員の皆さんも毎日、笑顔で家族のもとに帰ってもらればなと思っています」
白倉さんに贈られた盾に刻まれていたのは、
安全への誓いと、美紗さんへの感謝の言葉でした。
長沼中学校
平成24年11月29日(木)
PTA教育講演会 「命の大切さを学ぶ」
南幌町在住で北海道交通事 故被害者の会会員で
交通事故調書の開示を求める会 の副代表の白倉裕美子さんに来ていただき、
「命の 大切さを学ぶ」と題して講演していただきました。
白倉さんは、9年前、自宅付近で中学生の娘さん を交通事故で亡くしました。
その日、娘さんは、学 校祭の準備でいつもより15分ほど早く登校したそうです。
「行ってきます。」と元気な挨拶で家を出 た直後に事故に遭いました。
そのときの様子を克明 に涙ながらにお話しして下さいました。
そして、最後に「伝えることで交通事故を 無くしたい。
人の死はとてつもなく大きく悲 しいもので忘れることなんてできないし
、時 間が経てば薄れていくなんてことは決してない。
中学生の皆さんには、色々な人が周りに いて、色々な考えがある。
だから、他人を認 め助け合ってほしい。
そして、何よりも、自 分の命、他の人の命も大切にしていってほし い。」とお話しされました。
白倉さんのお話 しは聞いていた保護者、生徒、教職員の心に 強く重く訴えるものがありました。
平成26年度 命の大切さを学ぶ教室
平成 26 年 4 月 24 日(木)
本校体育館において、講師に江別警察署、松田 真尚氏、森澤 良介氏、
また、北海道交通事故被害者の会 白倉 裕美子氏【南幌町在住】をお迎えして
「命の大切さを学ぶ教室」を開催しました。
松田氏からは「自転車走行の危険」について、また森澤氏からは
「インターネット利用に起因する犯罪被害の防止について」の内容での講話を頂きました。
白倉さんは、2003 年に当時中学3年生の長女を自転車で通学途中、
対向車線をはみ出してきたトラックにはねられ、失いました。
白倉さんはその娘の死を無駄にすることなく、全国で講演活動を継続しています。
全校生徒に対して「普段の生活は当たり前のことじゃなく、幸せなこと。
私のような苦しみを誰にも味わってほしくない。皆さんには被害者にも、
加害者にもなってほしくない。」と訴えました。
白倉さんの講演に対し、生徒会長、新井 緋香利さんより
「白倉さんのお話ししてくださったことは、いつ、どこで起きるかわからないことで、
そのための心の準備なんてもちろんできない状態だと思います。
いつもの通りの毎日がいかに幸せなものかということを改めて思い知りました。
今後きちんと交通ルールを守って、被害者、加害者にもならないように、
そして命を大切にするということをしっかり胸に刻み込んで生きていきたいと思う。」
との感謝の言葉で教室の幕を閉じました。
生徒の感想より
私も交通事故で友人を亡くしています。
できればなかったことにしたい嘘だと今でも思っています。
友人のお母さんも言っていた言葉を思い出しました。
「今日、あなた達が文句や愚痴を言ってムダにしている今日は、あの子が生きたかった今日だ。」と。
この言葉は一生忘れないです。
今の時代は簡単に「死ね」や「死にたい」と口にする人が多いと思います。
たとえ深く考えていなくてもこの言葉だけは簡単に口にするべきものではないと思います。(3年 女子)
私は4人家族で祖母が一人います。特別なことではありませんが、毎日、平和に暮らしています。
そんな毎日が本当は奇跡が積み重ねってできていることになかなか普段は気がつくことができません。
毎日「ただいま」「おかえり」という言葉が交わされていることも当たり前ではないということがわかりました。
友だちと交わす「また明日」という言葉もあたりまえに使っていますが、
明日が来るということは喜ばしいことなのかと思いました。(2年 女子)
いつどんな場所で何が起こるかは誰にもわからないことなので、
今の自分にできることを精一杯やろうと決心しました。
もうすぐ高体連で部活動も終わりが近づくにつれてだんだんと受験も近づいてくるので、
文武両道できるように自分に厳しく毎日の努力を欠かさず頑張ろうとますます意志が強くなりました。
今こうして自分は生きていて、目標に向かって努力できること、支えてくれる親、
学ぶことができる学校や教えてくださる先生方、身のまわりすべてに感謝することと、
そんな環境にいる自分がとても幸せなんだと感じま した。(3年 男子)
話を聞いているうちに何だか他人事ではなくなってきて、
もしかしたら自分も体験するかもしれないと感じました。
私の母が旅行で海外に行っていて4日間ですが母がいない生活を体験しました。
決まった日にゴミを出して、自分で弁当を作って学校へ行き、学校から帰ると洗濯をし、
お風呂も入れるなどすべて自分でやらなくてはいけませんでした。
弁当をつくるために早起きし大変でした。
無事に母が帰ってきて母がいる という有り難さを改めて感じることができました。(2年 女子)
命は絶対に無駄にしてはいけない。現代では私たちと同世代の人たちが、
いじめなどに苦しんで自ら命を絶つ人が増えています。
自ら命を絶つ人の裏では、死にたくなくても死んでしまう人もいます。
そう考えたら自ら命を絶つことは絶対にいけないことだと思いました。 (2年 女子)
毎日、平和に暮らせていることがどれくらい価値のあることか改めて実感しました。
そして事故はいつ、どこで起こるかわからないです が、今を大切に生きていこうと思いました。(3年 男子)
特に印象に残った言葉が、「被害者の気持ちを考えない自分勝手な加害者」だ。
現代社会でも自分さえよければあとはどうでも良いなどと思っている人がたくさんいると思う。
今日の話で、そうした考えはやめよう と思った。もしかしたら、今、自分がしていることで
誰かを苦しめているかもしれない。(3年 男子)
今日の話しを聞いて家族や好きな人との最後の会話が「いってきます」は嫌です。
最後は「ありがとう」がいいなと思いました。
そのためにはもちろん自分だけじゃなく周りの人たち全員が注意してればなにか変ると思いました。
本当に今日の話しを聞けて良かった。
みさちゃんの話し、自分の立場であったかのように 涙が出ました。(1年 女子)
普段でも気付かないことでも、危険がたくさんあると思う。
例えば、自転車の並列走行だったり、二人乗りだ。自分が悪いことだとわかっていながらも
やってしまうのはダメだ。もし、それで死んでしまったら、その後に反省したりはできないからだ。
自分の人生、自分がどう生きようが勝手だが、人を悲しませるよう なことはしてはいけないと感じた。(1年 男子)
今年に入ってからすぐに母の父親で私からしては、おじいちゃんが亡くなりました。
白倉さんのように突然命を奪われたわけではなかったですが、そこには生きていた温かさがありました
その場面で私は死といのは怖いことだということと、その悲しみを乗り越えた時に
学ぶことがあると思いました。(2年 男子)
テレビや本で見聞きするのとは違って、実際に体験した人から直接話しを聞けたので、
本人の心情などがよく伝わってきました。
自分も数年前に祖母を亡くしているので、身近な人がいなくなってしまった時の気持ちがよくわかります。
人は意外とあっけなく、しかも突然死んでしまうので、
自分についてはもちろん、 他人に対しても人との関わりを
大切にしながらこれから過ごしていきたいと思いました。(1年 男子)
毎日新聞 2015年05月26日 地方版
高校生の交通安全や規範意識を高めようと、千歳市の千歳高校は、
交通事故の被害者遺族による講演会を開いた。
同校定時制の生徒60人が参加し、2003年に長女(当時14歳)が
トラックにはねられて亡くなった南幌町の白倉裕美子さん(45)の講演を聴いた。
白倉さんは長女を亡くした家族の苦悩を話し、
「運転者は被害者の苦しみを想像する力を付ける必要がある。
車を役立つ道具にするか、人を傷付ける凶器にするかはハンドルを握る人次第だ」と訴えた
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