朝日新聞 2006/7/28
交通死の14歳 両親働きかけ起訴
被告に執行猶予判決
速度超過認定
空知支庁南幌町の道々交差点で03年9月、自転車で通学途中の中学生白倉美紗さん(当時14歳)が、
トラックにはねられ死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた
北広島市の無職、荒川周一被告(46)に対する判決公判が
27日、札幌地裁岩見沢支部であった。
岡部豪裁判長は禁固3年執行猶予5年(求刑禁固3年)を言い渡した。
事故後、美紗さんの一方的な過失とされることに危機感を抱いた両親が、専門家に事故鑑定を依頼したり、
検察に公正な捜査を求めたりした結果、事故から2年8ヶ月後に荒川被告が起訴された。
審理を早める公判前整理手続きもとられた。
公判では、荒川被告は衝突地点や車の速度などについて、起訴事実の一部を否認して争っていた。
判決によると、荒川被告は被害者を発見した後も制限速度を28.8キロ以上超えて走行していたと認定。
衝突地点は検察側が主張する反対車線だったとした。
判決後、記者会見した遺族は「執行猶予がついた判決は不満。
公判前整理手続きが行われた事で証拠調べが不十分で、遺族の意見陳述も制止された」と述べた。
また、荒川被告と当時の勤務先の会社に対し
7500万円の損害賠償請求を求める民事訴訟を札幌地裁に提訴した事も明らかにした。
読売新聞 2006/7/28
南幌の死亡事故「暴走とは言えぬ」猶予付き判決
禁固3年 トラック時速78km認定
北海道南幌町で2003年9月、トラックを運転中、自転車で通学途中の
白倉美紗さん(当時14歳)をはねて死亡させたとして、
業務上過失致死罪に問われた北広島市西の里東1、荒川周一被告(46)の判決公判が27日、
札幌地裁岩見沢支部であった。
岡部豪裁判長は「わずか14歳で突然この世を去ることを余儀なくされた被害者はあまりに哀れ。
遺族らの処罰感情も峻烈だが、暴走とまでは言えない」などとして、
禁固3年執行猶予5年(求刑禁固3年)を言い渡した。
刑事裁判の公判前に争点を絞り,審理を迅速にする「公判前整理手続き」が道内2例目で行われた。
争点はトラックの走行速度と衝突地点の2点。
走行速度について、検察側は時速95キロ以上、弁護側は70キロと主張したが
、岡部裁判長は再計算の結果、時速78.8キロ以上と認定。
衝突地点は、荒川被告の車両の反対車線内だったとする検察側の主張を認めた。
判決後、会見した両親の博幸さん(35)と裕美子さん(36)は「真実とはほど遠い」と批判。
公判前整理手続きについて「新たに証拠を出せず悔しかった。
検察は控訴して真実を明らかにしてほしい」と涙を浮かべた。
両親は、荒川被告と当時の雇用会社を相手取り、7500万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。
北海道新聞 2006/07/28
南幌・中3交通死
「暴走と言えぬ」
被告に猶予判決
【岩見沢】空知管内南幌町で二○○三年九月、中学三年の白倉美紗さん=当時(14)=をトラックではね
死亡させたとして、業務上過失致死の罪に問われた北広島市西の里東一、無職荒川周一被告(46)の
判決公判が二十七日、札幌地裁岩見沢支部で開かれ、
岡部豪裁判長は禁固三年、執行猶予五年(求刑・禁固三年)を言い渡した。
道内二例目の公判前整理手続き適用事件で、争点を被告の車両の速度などに絞った。
岡部裁判長は判決理由で、時速九十五キロ以上出ていたとの検察側の主張について
「科学的根拠に欠ける」として退け、
七八・八キロ以上だったと判断。「被告の過失は重いが暴走とまでは言えない」と述べた。
判決によると、荒川被告は○三年九月一日、南幌町の道道交差点で
、自転車で通学途中の美紗さんをはね死亡させた。
美紗さんの両親は全国でも異例の法廷への遺骨の持ち込みが認められ、美紗さんの遺骨と遺影を持ち傍聴した。
判決後、両親は「公判前整理手続きは被害者をかやの外に置いている。
公判の内容も、執行猶予付きの判決にも納得いかない」と述べ、検察側に控訴を求めた。
また、荒川被告と事故当時、同被告が勤務していた運送会社に計七千五百万円の損害賠償を求め、
同日までに札幌地裁に提訴したことも明らかにした。
時速78キロ暴走と言えぬ
猶予判決に両親無念
自転車の女子中学生をトラックではね死亡させたとして、
業務上過失致死罪に問われた元運転手荒川周一被告(46)に、
札幌地裁岩見沢支部(岡部豪裁判長)は27日、禁固3年、執行猶予5年(求刑禁固3年)を言い渡した。
被害者の白倉美紗さん=当時(14)=の両親は娘の遺骨を持ち傍聴、判決後に父親の博幸さん(35)は
「一緒に判決を聞いた美紗も悔しいと思っているだろう」と無念さをあらわにした。
制限速度50キロの現場でどれだけの速度が出ていたかが争点となっていた。
岡部裁判長は、時速95キロ以上との検察側主張を「科学的根拠に欠ける」として退け、78・8キロ以上だったと判断。
その上で「被告の過失は重いが、暴走とまでは言えない」と判決理由を述べた。
(共同通信) - 7月27日20時3分更新
[ 札幌テレビ放送 ]
真実は明らかにならなかった」と両親は怒りをあらわにしました。
3年前、南幌町で女子中学生がトラックにはねられ死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた運転手に対し
、裁判所は執行猶予つきの有罪判決を言い渡しました。
南幌町の白倉博幸さんと妻の裕美子さんです。きょうも娘の遺骨を胸に抱え裁判所を訪れました。
(白倉裕美子さん)「ただ力不足な部分もあったので、美紗にごめね、と…」
2003年9月。白倉さんの長女・美紗さんは自転車で学校へ向かう途中、トラックにはねられ死亡しました。
警察は当初「美紗さんが道路に飛び出した」のが原因としてトラックの運転手に過失はなかったという判断を示しました。
(白倉裕美子さん)「だからどこでぶつかったのよ!」「美紗は悪くない」―。
娘を失った白倉さんは自分たちで調査を進めながら警察に再捜査を要請しました。
その結果、去年トラックの運転手はスピードの出しすぎや前方不注意という業務上過失致死の罪で起訴されました。
白倉さんの執念でした。1回目の裁判で運転手は過失を認めました。
しかし、裁判では美紗さんとの衝突地点や運転手が出していたスピード、そして、
どの時点で運転手が危険を認識したか、という部分が争われてきました。
きょうの判決で裁判所は争点となっていた「衝突地点」や「危険認識の場所」について
検察の主張に近いデータを採用しました。
しかしスピードについては「暴走」とまではいえないとしたほか、
判決理由について「不十分ながらも被告人なりの謝罪がみえる」として
運転手に執行猶予つきの有罪判決を言い渡しました。
(拝野記者)「きょうの判決で裁判長が不十分ながらも被告人なりの謝罪がみえる、と判決理由を述べると
母親は、何を言っているのと叫び怒りをあらわにしました」
(白倉裕美子さん)「私たちの考えとはほど遠い考えをもった裁判官だと思った」
両親の執念が実を結ぶ形で開かれた一連の裁判。
しかし、両親が納得できない部分が、なお残る結果となりました。「娘の死の無念を晴らしたい」ー
両親は、今後先週起こした民事裁判のなかで真実を明らかにしていきたいと話しています。
(2006年7月27日(木)「どさんこワイド180」)
北海道新聞 2006/8/4
検察側が控訴
南幌の中3交通死
【岩見沢】空知管内南幌町で二〇〇三年九月、同町の中学三年生白倉美紗さん=
当時(一四)=がトラックにはねられ死亡した事故で、札幌地検岩見沢支部は
三日、業務上過失致死の罪に問われた北広島市西の里東一、無職荒川周一被告(四六)に対し、
禁固三年、執行猶予五年(求刑・禁固三年)を言い渡した札幌地裁
岩見沢支部の判決は量刑不当として、札幌高裁に控訴した。
七月二十七日の判決は、事故当時のトラックの速度を時速九五キロとした検察
側の主張を退け、同七八.八キロ以上と認定、「暴走とまで言えない」とした。
同地検は猶予つき量刑に加え、この速度認定を事実誤認として、控訴を決めた。
北海道新聞 2006/12/11 夕刊
南幌中3交通死
「法廷に遺骨はダメ」
遺族申し入れに札幌高裁
二○○三年九月、空知管内南幌町の中学三年生白倉美紗さん=当時(14)=が
トラックにはねられ死亡した事故の刑事裁判で
、二審の札幌高裁が、法廷への美紗さんの遺骨の持ち込みを不許可とすることを
遺族に伝えていたことが十一日までに分かった。
一審の札幌地裁岩見沢支部と札幌地裁での民事裁判では認められていたため、
遺族は四日、不許可の理由を求める上申書を同高裁に提出した。
高裁は「回答時期は未定」としている。
美紗さんの父博幸さん(35)によると、十月八日に遺骨持ち込みの要望を高裁に申し入れたが、
今月一日、不許可との連絡があった。
博幸さんは「犯罪被害者支援の動きが広がっている中で、理由も示さず不許可にするのはおかしい」と話し、
「刑事裁判は二審で終わりになると思う。裁判の行方を最後まで美紗と一緒に見届けたい」と訴えている。
一審では元トラック運転手の男に禁固三年、執行猶予五年(求刑禁固三年)の判決が言い渡され、検察側が控訴した。
2006/12/20 北海道新聞
遺族「実刑に」
南幌中3交通死 控訴審初公判
空知管内南幌町で2003年9月、中学3年生白倉美紗さん=当時(14)=をトラックではね死亡させたとして、
業務上過失致死罪に問われた北広島市西の里東1、無職荒川周一被告(46)の控訴審初公判が
19日、札幌高裁(長島孝太郎裁判長)で開かれた。
一審と同様に遺骨を抱いて傍聴したいとの申請を不許可とされた両親が、遺影を手に傍聴した。
母親の裕美子さん(37)は、意見陳述で
「一審の初公判まで謝罪しなかった荒川(被告)への恨み、憎しみは消えない」と述べ、
執行猶予付き有罪とした一審の札幌地裁岩見沢支部判決を見直すよう要望。
父博幸さん(35)も「実刑判決を心から望みます」と訴えた。
閉廷後、両親は「当事者(美紗さん)が法廷にいないのはおかしい」と話し、
美紗さんの遺骨の持ち込みを求める上申書を再度、高裁に提出することを明らかにした。
控訴審初公判で検察側は、「一審判決は事実誤認で、量刑も著しく軽すぎて不当」と主張。
弁護側は控訴棄却を求めた。争点となっているトラックの速度について、高裁が再現場実験を提案。
検察側は次回公判までに実験の可否を判断する。
2007/09/06, 北海道新聞夕刊
南幌中3交通死
二審も猶予つき判決
「トラック暴走」認めず
空知管内南幌町で二○○三年九月、中学三年生白倉美紗さん=当時(14)=をトラックではね死亡させたとして、
業務上過失致死罪に問われた北広島市西の里東一、元運転手荒川周一被告(47)の控訴審判決公判が
六日、札幌高裁で開かれた。
矢村宏裁判長は禁固三年、執行猶予五年とした一審判決を支持、検察側の控訴を棄却した。
矢村裁判長は争点だったトラックの速度を時速八二・七キロと認定、
検察側の時速九十キロ程度との主張を退けた上で、「暴走とまで断じることはできない」と指摘した。
判決によると、荒川被告は○三年九月一日、南幌町の道道交差点で、
自転車で横断中の白倉さんを反対車線側ではね、死亡させた。
一審の札幌地裁岩見沢支部は、全国でも異例となる遺骨の法廷への持ち込みを遺族に認めたが、
札幌高裁は許可しなかった。
2007/09/06 STVニュース
娘の交通事故死・・・両親の願い届かず
両親の願いは届きませんでした。
4年前、南幌町で女子中学生がトラックにはねられ死亡した事故の裁判で、
制限速度を30キロ以上オーバーしていた運転は、
「暴走ではない」と裁判所が認定し、厳罰を求めた両親の控訴は棄却されました。
南幌町の白倉博幸さんと妻の裕美子さんです。
白倉さんの長女・美紗さんは2003年9月、自転車で学校へ向かう途中、トラックにはねられ死亡しました。
しかし、警察は道路に「飛び出した美紗さんに事故の原因」があり「運転手に過失はない」と判断しました。
事故の真相を知ろうと白倉さんは自分たちで調査を進め、警察とは異なる検証結果を導き出しました。
検察は、事故から2年3ヵ月後に過失がないとされたトラックの運転手を起訴ー。
一審では、「美紗さんの飛び出しでは無い」ことを認定し、
運転手の荒川周一被告に対し執行猶予つきの有罪判決を言い渡しました。
しかし、検察はこれを不服として控訴していました。
(白倉裕美子さん)「(被告に対し)執行猶予の無い、実刑判決を強く望みます」
(小林記者)「今日の裁判、札幌高裁は一審で認定されたトラック78.8キロ以上のスピードを暴走とするのか、
運転手に執行猶予がつくかどうかが焦点となります」
札幌高裁は、トラックのスピードを82.7キロ以上とし、
「飲酒、薬物、無免許などの暴走と同じとはいえない」と認定しました。
また、「美紗さんにもわずかながらも落ち度はある」として、検察側の控訴を棄却し、
一審通り禁固3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
(白倉博幸さん)「82.7キロのスピードで人を殺しておいて、それが暴走ではないという裁判官の考え方を疑っています」
(白倉裕美子さん)「どうして美紗が悪く言われなければ言われるのか、納得出来ない」
事故から4年。白倉さん夫婦にとっての真相を知る戦いは実を結びませんでした。
(2007年9月 6日(木)「どさんこワイド180」)
2007/9/16 毎日新聞
2007/9/20 朝日新聞
空知支庁南幌町の道道交差点で03年9月、自転車で通学中の中学生白倉美紗さん(当時14)が
トラックにはねられて死亡した事故で、
業務上過失致死罪に問われた北広島市の無職荒川周一被告(47)の裁判について、
札幌高検は19日、上告を断念する方針を固め、白倉さんの両親に伝えた。
両親は、一審の札幌地裁、二審の札幌高裁が示した禁固3年執行猶予5年(求刑禁固3年)という判断には
事実誤認があり、判決が軽すぎるとして高検に最高裁への上告を求めていた。
記者会見した両親は「被告は自由に上告できるのに、被害者は検察に頼まなければ上告すらできない。
私たちには被告に与えられている権利も保護もなく、どこまでも被告に有利な司法の世界に矛盾と憤りを感じる」と訴えた。
2007/9/20 毎日新聞
中3死亡事故
札幌高検が上告断念
運転手に猶予判決 両親、対応を批判
空知管内南幌町の町立南幌中3年白倉美紗さん(当時14歳)をトラックではね死亡させたとして
業務上過失致死罪に問われ1,2審で禁固3年執行猶予5年の判決を受けた
北広島市の運転手の男(47)について、
札幌高検は19日、上告を断念した。
上告を求めてきた白倉さんの両親は「国民のため、被害者のための検察庁とは思えない」と無念さをにじませた。
両親はこの日、担当検事から上告断念を告げられた。母裕美子さん(37)は
「検事は判決に不服で内容も納得できない言っておきながら、上告しないと言い張った」
と検察側の対応に疑問を呈した。
父博幸さん(36)は「真実を求めてやってきたが、真実が全くない裁判になってしまった」と語った。
粂原研二次席検事は「ご遺族の心情は十分理解しているが、適法な上告理由が見当たらず、
上告は断念せざるを得ないとの結論に至った」とのコメントを出した。
事故は03年9月1日午前、同町南14線西4の道道交差点で発生。
検察側が量刑不当と事実誤認を理由に札幌高裁に控訴したが、同高裁は6日「控訴理由がない」として棄却した。
【芳賀竜也、写真も】
写真説明:上告断念を告げられ、落胆する白倉博幸さんと裕美子さん
=札幌市中央区の北海道司法記者クラブで19日