2008(H20)/4/18

平成20年4月・・・
美紗の6歳年下の妹・紗穂が「美紗の鼓動が止まった」14歳になりました。



この2年、紗穂が自分の誕生日を喜ばなくなっていた。「嫌だな」と言うようになっていた。
しかし、「時間」・・・これだけは止められない。
親としてできた事と言えば、美紗の誕生会を必ずやることだけだった。
「お姉ちゃんは15歳になったよ」「今年で16歳」「今年は17歳」・・・・と。
そして3月7日美紗の19歳の誕生日。

紗穂も言う。「お姉ちゃん、もう19歳か」と。
でも現実は14歳のままのお姉ちゃんしか知らない。
お姉ちゃんと同じ年の妹になるという気持ちがあるみたい。
そして「お姉ちゃんが歩んでいない年齢を生きていくのは辛い」とポツリ・・・・・
どうすることもできない。でも乗り越えて生きてほしい。
お姉ちゃんはいつまでもお姉ちゃんだよ。紗穂の6歳年上のね。

美紗が事件にあってから、親は事件の真相解明にまっしぐらに突き進んでいました。
そして周りからは「下の子供たちもいるんだから」と言われます。確かにそのとおりです。
そして美紗の妹弟にもいつ何があるかわからない。
「遊んでくるね」と出かけたら家に戻るまで落ち着かないのも事実。

紗穂もたくさん寂しい思いをしたと思う。でも親には「大丈夫?」「少し休んだら?」
「お姉ちゃんは悪くないってみんなにわかってもらおうね」などの言葉が多い。
私達がここまで、交通犯罪に関して取り組んでこれているのは、間違いなく子供たちのおかげです。

紗穂は、最近犯罪被害者の活動に関心を持ってきた。時間があれば実行委員会に出席したいと付いてくる。
全国大会にも出てみたいと言っています。

そろそろ、何か機会があれば発言の機会を与えたいと考えています。
口数が多い子ではないので、その中で紗穂が今何を思い、考えているのか親としても知りたいな・・・・・

以下は控訴審での紗穂の意見陳述です。その時初めて知った紗穂の気持ちもありました。
親として、反省しなければいけない事も・・・・・




意見陳述          白倉 紗穂  平成19年6月19日

この前の裁判で、父と母が意見陳述をしました。そのときの私は岩見沢での裁判の意見陳述で、
言いたいことは言ったとの思いもあり、高等裁判所での意見陳述は考えていませんでした。

でも、お姉ちゃんと同じ制服を着て中学校に4月から通うようになって、
そして13歳になって考えは変わりました。

3月に制服が自宅に届いて、私はうれしくて、試着して両親に見せました。
お母さんは笑顔で「似合ってるよ」と言ってくれました。
でも笑顔なのに涙がたまっていました。お父さんは何も言わずにじっと私を見ているだけでした。

そのときは、どうしてもっと喜んだりしてくれないんだろうと、ちょっといやな気持ちになりました。
でも写真は写してくれました。
その写真を見たとき、制服姿の写真のお姉ちゃんと自分でもびっくりするくらい似ていました。
最近よく「美紗ちゃんに似てきたね」といわれることも多かったけど、
その時にお父さんもお母さんもお姉ちゃんの事を思い出したんだと思いました。

その何日か後、お母さんが突然ワーっと叫んで、叫びながらたくさんの涙を流して暴れだしました。
お父さんが後ろから抑えるように抱いて一生懸命「大丈夫だよ」と何度も言っていましたが、
今度はお母さんの体はケイレンして息が出来なくなりました。
お父さんは何度もその状況を見ていたからなのか、落ち着いてお母さんのことをやっていました。
私は、軽い呼吸困難を起したお母さんは何度も見ていたし、
そのときにどの薬を飲ませればいいのかは教わっていたけど、
初めてみたお母さんの姿に最初は怖いと感じましたが、無意識のうちにお母さんの手を握っていました。
涙が止まらなくて泣いてしまいました。
反対の手は誠也が握っていましたが、誠也も声を出して泣いていました。
お母さんは、少し落ち着いたとき、私と誠也に何度も何度も「ごめんね」といいました。
いつも「大丈夫だよ」と言って、ご飯を作ってくれたり、仕事もがんばって、
お姉ちゃんの事もがんばって、無理をしていたのに、手伝ってあげなかった自分も悪いんだと思って、
私もお母さんに「ごめんね」と何度も言いました。
結局、お母さんは私の中学校の入学式には出れませんでした
。とても寂しく思いました。でも来て欲しいとは言えませんでした。

お母さんの発作の回数は増えていて、この間は自殺しようとしました。
私は大声で「お母さん大好きだよ!そばにいて!」と抱きつきました。
お父さんも「しっかりしろ!」と大声で叫びました。
お母さんを抱え込んだお父さんが何度も振り飛ばされるくらいすごかったし、怖かったです。
その時にお父さんはケガをしました。後からお父さんの傷に気が付いたお母さんは、
その時に初めて自分のしようとした事を知ったようで、数日間、家に閉じこもり、
家族とも話をしませんでした。

 私も、お姉ちゃんが死んだ日のことを思い出して叫ぶことが多くなって
精神科に通うようになってしまいました。
学校におばあちゃんが迎えに来たこと、
治療室の戸が開いた瞬間に見えた、寝ているお姉ちゃんの姿がグルグル頭の中に繰り返して出てきます。
心臓が苦しくなって息苦しくなって涙が止まらなくなります。

 外で、がんばって笑って元気にいると「もう立ち直ったんだね。
お姉ちゃんの分までがんばって生きないとね」と言われるし、
普通の自分でいると「暗い顔してたらお姉ちゃんが悲しむよ。
悲しんでてもお姉ちゃんは帰ってこないんだから」と言われます。

私が、お姉ちゃんの分まで頑張って生きるなんておかしいと思います。
お姉ちゃんはみんなの幸せを願ってくれていても、
自分の生きられなかった分の人生を私に背負わせたり、
私の重荷になることを望むお姉ちゃんではないし、
自分で人生を生きたかったと悔しがっているのが、本当だと思います。

 あと、家族が殺されて時間が経つと悲しみが少なくなると考えている人がいたら、それは間違いです。
たくさんの時間が経っても、すごく悲しいし、暗い顔にだってなります。
生き返ってこないから、家族はずっと悲しいし、帰ってきて欲しいとも思うし
、魔法が使えればとか色々考えます。
今の私は外では無理しても笑う方を選んで生活しています。
でもそれは苦痛だし大変だけど、そうしています。

こうなった全部の原因は○○がお姉ちゃんを殺したことなのです。
どうして知らない人間が、私の家族を壊すのですか。
お姉ちゃんが、お母さんが、お父さんが、私が、誠也が何か○○にしましたか。
どうしておねえちゃんを私達から引き離したのですか。お姉ちゃんを帰してください。
私は13歳になりました。14歳のままのお姉ちゃんでいいから返してください。
お姉ちゃんより年上の妹になりたくありません。今すぐ返してください。
返せないなら、○○にこの世からいなくなってほしいです。

私はお姉ちゃんの死んでしまった14歳を超えてしまうことが、
中学校に通うようになってからとても怖い、嫌という気持ちになりました。
この学校でお姉ちゃんもここで色んな事をしてたのかな、
友達と遊んでいたのかなと考えると、頭の中が真っ白になって
叫びたくなる気持ちになります。
苦しくてどうしていいのかわからなくなる体験をするようになりました。

今までは、悲しくてもこんな気持ちになったことが無かったのに、
中学校に行くようになって、変わりました。
そして13歳になって、もうすぐお姉ちゃんと同じ年になること、
そしていつか抜かしてしまうと考えると、
中学生になった事も素直にうれしいと思えません。
自分の14歳の誕生日が来なければいいと思います。

誠也は、まだお姉ちゃんは学校で勉強していて帰ってこないと思っています。

だから私が中学校から帰ると
「美紗いた?勉強してた?紗穂だけ美紗に会えてズルイ」といいます。
私は何も答えたくないから、私はすぐに部屋に入ります。

どう答えればいいのですか?○○から誠也に説明してくれますか?
「俺がお姉ちゃんを殺したから、学校に行ってるんじゃない」と
誠也が理解するように、傷つかないように○○から話して欲しいです。
なぜなら、誠也がもう少し大きくなって状況を理解したとき、また苦しむのは私たち家族だけです。
どうして私たちだけに苦しいことがあるのですか。
私の家族には、今も将来も辛く悲しいことしか待っていないように感じます。
人殺しなのに、ずっと今まで普通に生きているのが憎いです
。この憎いという感情も最近になってわかるようになりました。
だから今は両親の気持ちがちょっとだと思うけど、理解できていると思います。

お姉ちゃんがいれば、好きな人の話も流行の服や化粧の話も、
親に話しづらい悩みも相談できたはずです。
好きな歌手の歌の話もして、一緒に大好きなカラオケを歌ったりしたかった。
コンサートにも一緒に行きたかった。


お姉ちゃんと私が好きな歌手の歌の中に、今の私の気持ちがあるので読みます。

『君をずっと忘れないよ。天と地にそっと離されても・・・
願いが一つ叶うのならば もう一度君に逢いたい。・・・・
君が知らない明日をこれから僕はどう生きればいい?
・・・約束はもう交わせないけど、君の夢せめて叶えたい』


という歌詞です。

お姉ちゃんの今の夢はきっと、○○を刑務所に入れること。
私は悪くないよと知って欲しい事だとおもいます。
その夢を叶えてあげたくて、今回意見陳述をしようと思いました。
○○を刑務所に入れてください。
人を殺すという一番悪いことをしたのに刑務所に入らないなんて変です。
これ以上私たち家族を、お姉ちゃんを苦しめないで下さい。お願いします

最後に、○○に言いたいことがあります。裁判官の前で演技することはずるいと思います。
刑務所に入りたくないから、裁判所でだけ謝るなんて卑怯です。


腹が立つのでやめてください。私は一生、○○を許しません。絶対に許しません。