交通事故調書の開示を求める会


2008年7月23日  
鳩山法務大臣に早期段階での調書開示を要望


きっかけは、2008年5月30日の民主党・細川律夫議員の国会質問での
鳩山法務大臣の発言がきっかけでした。

大野政府参考人 ただいま委員が御指摘になりました刑事訴訟法四十七条というのがありまして、
「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」ということで、
原則として捜査段階の書類は捜査段階においては公にしないということになるわけでありますが、
これはもちろんプライバシー保護あるいは円滑な捜査遂行の必要性を踏まえた規定でございます。


 ただ、この四十七条にはただし書きがくっついておりまして、
「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」とされております。


 そうした観点で、犯罪被害者等基本計画の中でも、検察官が捜査への支障等を勘案しつつ、
犯罪被害者等に対し、適時適切に捜査状況等の情報を提供するよう努めることと
いう条項も入っているわけでございます。


 
そこで、現在、検察当局は、捜査段階でありましても、犯罪被害者等の方々から要望がある場合には、
可能な範囲で、捜査への支障等を勘案しながら捜査状況等について説明をしております。


 そして、今委員が特に御指摘になりました実況見分調書でありますけれども
実況見分調書につきましては、いわば客観性の高い証拠ということになるわけでありますが、
被害者に対する説明の際に、必要に応じて実況見分調書をお示しする場合もあるというように承知しております。


細川委員 被害者に説明する場合に、実況見分調書も示す場合もあるということでありますけれども、
しかし現実は、私が聞いた限りでは、まず見せてもらえないというふうに聞いております。


 刑事訴訟法四十七条の後半では、
「但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」
こういう規定がちゃんとありますので、実況見分調書というのは本当に客観的な証拠でありますから、
特に、それを被害者が見ても捜査の妨害になるとかそういうようなことは一切ない、被害者が真実を知りたい、こういうときには、やはり実況見分調書を見せるということが大事ではないかというふうに私は思いますけれども、ちょっと大臣のお考えを聞かせてください。


鳩山国務大臣 この少年法の改正案が、少年により重大な事件が起きて、
最愛の御家族を失うというようなケースを想定して、そうした遺族の方々の、知りたい、
どういう少年なんだろうか、少年審判でどんなやりとりをしているんだろうか、
あるいは身上、経歴等もどんなふうであろうか、そういう切実な思いにこたえるような立法をしよう、
それが犯罪被害者等基本法や基本計画に沿ったものである、そう考えているわけでございます。


 そのことを踏まえて、今の細川先生のお話を承りますと、
先生御指摘の熊本県で発生した交通事故、今から十年前なんでしょうか、それは交通事故ですから、
どっちに過失があったとかいろいろ難しい問題は出てくるわけでありましょうが、
そのオートバイに乗った青年は亡くなってしまうわけですね。
その遺族の皆様方の御心痛、察するに余りあるものがございまして、
先生が切々とお話をされましたように、結局不起訴になっておって、
後から実況見分調書を見る。これは、余りにも、余りにもという気がします、私の率直な思いは


 
したがって、少なくとも先生が御指摘のようなケースでは、
刑事訴訟法四十七条というのは、その読み方は、ただし書きを極めて重く、
あるいは幅広く読みほどくべきでありまして、
実況見分調書を遺族の方に、それこそこのような例であるならば、
お見せするのが原則であってしかるべき、こう思います。


細川委員 ありがとうございました。

交通事故被害者遺族の声を届ける会、TAV交通死被害者の会、北海道交通事故被害者の会
交通事故調書の開示を求める会の4団体が要望書を手渡しました。
約40分にわたる面会でした。




鳩山法務大臣は
・要望の趣旨はよく理解できる。
・送致されない事案もあるので、検察段階での開示では遅い。
・知る権利が十分に保障されるべきだ。
・できる限り、事実関係をお知らせすべき。
・被害者遺族の意見を少しでも反映するようにしたい。
・「死人に口なし」捜査などあってはならない。
・加害者は自分の言いように言い逃れする。そのような事で捜査が進んではならない。


と、現状を十分に理解した上で、前向きな発言をされました。

交通事故調書の開示を求める会は、調書の早期開示を訴える署名 
9823名分を手渡しました。