2009/1/30
STVどさんこワイド特集
「被害者参加制度」を考える


きょう被害者が参加する、道内で初めての裁判が開かれました。
札幌の男が運転するボートから男性が海に投げ出されて死亡した事件の裁判。
被害者の父親らが駆けつけました。刑事事件の裁判に被害者や遺族が参加できる
「被害者参加制度」を考えます。

★VTR①(加藤さん)「この白いシューズは、息子のなんですよ。これ履いて現場に行きました」
神奈川県に住む加藤さんは、事故で二男を失いました。
「(警察から)息子さんが船から落ちて、
 行方不明になっていて捜索中ですという電話が来た」
加藤さんの二男は、おととし4月、神奈川県を流れる相模川の河口で、
プレジャーボートから海に投げ出され、死亡しました。
事故当時、海は大荒れの状態でしたが、船長の梶谷岳宏被告は、強引に出航したのです。
事故があったのは、船の出航からわずか15分後。
加藤さんの二男以外は、甲板などにしがみついてなんとか助かったといいます。
「(二男は)本当に身体を動かすのが好きでした」
家には二男が愛用していた服やトレーニングの道具が今も並んでいます。

(梶谷岳宏被告 「一生、償います」
事故後、梶谷被告は加藤さんにこう話したといいます。しかし―。

(加藤さん)「神奈川から栃木、北海道へと逃げ回るような行動を取って、
 息子に手を合わせることもなく、まるで連絡なし。
一生償います(と言う男)が、結局、逃げ回っていて、どう償うのか、理解に苦しみます」

梶谷被告は、事故後、神奈川を去り、札幌に身を寄せていました。
そして、先月、悪天候の中、安全確認を怠り、船を出航したとして、
業務上過失致死傷の罪で札幌地裁に起訴されました。

(加藤さん)「被告の言う『一生償う』とは、どういうことなのか聞きたい」
加藤さんは、裁判に参加することを決めました。
きょう午後1時半から始まった梶谷被告の裁判―。
加藤さんが法廷の柵の向こう側、検察官の隣に座りました。

(加藤さん)「親として、質問させていただきます。あなたの一生償いますとは、
 どういう気持ちで言ったのか、どういう償いをしてくれるのかその辺をお聞きします」

(梶谷岳宏被告)「一生償う気持ちは持っています 償うことはどういうことかというと、
 ご家族の方に満足といったら変かもしれませんが、
そう思っていただけるように償ってまいりたいと思います」
(加藤さん)「今までは何もなかったので、本当なのかという気持ちでいっぱいですが、大丈夫ですか?」
(梶谷岳宏被告)「今までのは本当に申し訳ないと思っています」
また、加藤さんは裁判官にこう訴えました。
「被告は『一生、償います』と言っていましたが、 位牌に手を合わせることもなく、
 無責任で誠意のかけらもありません。現在人間の寿命は息子の世代でも80歳です。
 50年死ぬまで誠意を持って償うのが当たり前だと思っています」

開廷からおよそ2時間。検察官が禁固2年を求刑すると、
加藤さんは自分の意見を述べました。
「「一生、償います」という言葉の重さを考えて欲しい。実刑にして下さい。」
裁判終了後、加藤さんは被害者参加制度について、こう話しました。
「こういう場で被告と会えて、自分の意見を言えるのは、大変いいことだと思っています」

★和久井キャスターの解説
今回、新たに始まった「被害者参加制度」ですが、一体、どんな制度なのか、改めて見ていきましょう。

こちらは、一般的な法廷です。これまで事件の被害者や遺族は、
基本的にこの柵の外の傍聴席で裁判の行方を見守ることしかできませんでした。  
しかし、この制度の導入で、被害者が検察官の隣に座って裁判に参加できるになりました。
被害者は被告や証人に質問をすることができるほか、
検察官の求刑とは別に意見を述べたり、刑を求めることもできます。
例えば、殺人事件で、検察官が懲役20年を求刑した後
遺族が死刑を求めることもできるわけです。
この制度の対象は殺人などの重大事件だけではなく交通事故や傷害事件などにも適用されます。
参加できるのは事件の被害者本人やその配偶者、または親、兄弟などです。
この被害者参加制度は、裁判員制度とともに司法制度改革の柱の一つですが、
なぜ、このような制度ができたのでしょうか。その意義を検証します。

(白倉裕美子さん)南幌町の白倉裕美子さんは、
道内で初めての裁判を傍聴するため、札幌地裁を訪れました。

「自分たちが望んでいた被害者が法廷の中に入って言葉を発するという姿をきちんと見たい。
 その声を被告がどういう風に受け止めるのかもしっかりと聞いてきたいと思います」
白倉さんは6年前、交通事故で愛する娘を失いました。
白倉美紗さん、当時14歳―。
2003年9月、美紗さんは中学校への通学途中、トラックにはねられ亡くなりました。

「一語一句聞き逃すことなく聞いてきたいと思います」
事故から3年後、
業務上過失致死の罪に問われた運転手の裁判が開かれました。しかし―、
「被告の言っている言葉をただ聞いているしかなくてすごい悔しい思いをしたし。
 検察の質問にしても、自分が聞いて欲しいこととはかけ離れた質問になっていた」
裁判のたびに募っていった無力感や疎外感―。そして、司法への失望。白倉さんが直面したのは、
被害者が置き去りにされる刑事裁判の現実でした。

(白倉裕美子さん)「色々と提出した書類です」
被害者の権利を確立し、裁判への参加を認めて欲しい。
美紗さんの裁判と同時に、白倉さんは国や裁判所に訴え続けてきました。
白倉さんは、今回の「被害者参加制度」を前向きに評価しています。
「ただ見ているだけの裁判から参加する裁判に変わったことで
 大きな一歩を踏み出したかな」

しかし、この制度を巡っては、様々な課題も指摘されています。
裁判員制度が始まると、裁判員が被害者の感情に流されるのではないか。
また、裁判が被害者の復讐の場になることや、被告が被害者に遠慮し、
自由に発言できなくなる可能性があるというのです。

(山田廣弁護士)「私はそういうことは杞憂に過ぎないと思っています」
犯罪被害者の支援に取り組む札幌の山田廣弁護士です。
「(被害者参加制度は)新たな権限を付与したのではなく、
 今まで侵害されていた被害者の権利を回復した。
これで被告人と被害者が対等の立場で、裁判に関与できるということです」

(白倉裕美子さん)「裁判に立ちたいと思ったのは、
 相手に復讐してやろうとか、仕返しをしてやろうとかでなく
 とにかく美紗の代わりに自分たちが伝えなければと、強く思いました」

被害者の裁判への参加を求めてきた白倉さんの目に、
きょうの裁判は、どう映ったのでしょうか。
「被害者だからできた質問とも聞いていたので、
 そういう言葉の一つ一つが裁判官に伝わってくれればと思っています」

★和久井キャスター
犯罪被害者が裁判への参加を求める背景には、
事件の真相を知りたいという強い思いがあります。
この当然の思いに答え、本当の意味での被害者参加を実現するには、
事件に関する捜査情報などをどこまで被害者に提供するのかなど、課題は残っています。




2009/1/14
  STV どさんこワイド特集

真実が知りたい両親の闘い

娘の死から5年。遺族は今も事故の真相を追い求めています。
なぜ、娘に落ち度があるというのか?
その一心で両親は戦い続けてきました。

2009年元日。
       【美紗さんの仏壇の前のおじいちゃん】「おじいちゃん、美紗ちゃんにお年玉」
「顔見えなくなっちゃうね」「どうしても涙が出てくるな」

白倉美紗さん、当時14歳。2003年9月、
美紗さんは中学校への通学途中、トラックにはねられ亡くなりました。

1日は美紗さんの月命日。あれから5年余り。
新しい年を祝う、そんな当たり前の正月は白倉家にはありません。
しかし、今年は節目の年になると家族は考えています。

【白倉博幸さん】
「最初に、今年もよろしく。今年、今年大きく変わるから、
 頑張るから応援してね。(と伝えた)」

本当のことが知りたい。その一心で戦い続けた5年。
両親が集めた事故に関する資料は棚一杯に並んでいました。
【白倉裕美子さん】「何でも書類として目を通さないと・・・。増えましたね。気がつけば。」

警察は当初、事故は美紗さんが道路に飛び出したために起きたと結論付けました。
しかし両親はその結論を受け入れることができませんでした。
なぜ娘は事故にあったのか、路上の血液反応を調べるなど
白倉さん夫妻の独自の調査が始まりました。
その調査によってトラックは90キロ以上のスピードを出していたことや
美紗さんは飛び出していないという結論を導き出しました。
そして事故から2年後、検察はようやくトラックの運転手を起訴しました。
高裁まで進んだ刑事裁判では、トラックは82.7キロ以上で走行し美紗さんをはねたが、
暴走とは言えない、美紗さんは横断途中でありわずかながら落ち度があったと、
運転手に執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

「どうして、美紗が悪く言われなければいけないのか」「納得できない」
判決に納得出来ない。白倉さんは民事裁判を起こして
事故の真相究明に乗り出します。再び戦いが始まりました。

白倉さんは改めて事故の鑑定を専門家に頼むことにしました。
どうしても理解できないことがあったからです。美紗さんの身体に残った左頭部の傷です。
「左の足や、左の手に傷があった。左の額にも傷があったと調書に書いてある」
【青野弁護士】「横断中であれば、本来ダイレクトに当たるのは
 右に当たるのでそこが矛盾するのではないかと・・・」

刑事裁判が終わるまで検察に保管されていたトラック。
白倉さんは貴重な証拠として買い取りました。
そのトラックは今、美紗さんが乗っていた
自転車と共に家の倉庫に保管されています。
トラックに残る衝突の跡は真実を知っているはずです。

鑑定の結果は、白倉さんが信じた通りでした。
美紗さんは交差点の横断を終えていて、落ち度はないと判断されました。

警察が導き出した事故の状況です。
美紗さんが無理に横断を始めたため、トラックは急ブレーキをかけ
右に避けたものの間に合わず、美紗さんの右側に衝突、
左頭部の傷は道路に投げ出された時にできたものとされました。
しかし鑑定では、トラックのスピード、ブレーキ痕の長さ、
そして、美紗さんの損傷状況などから、横断後、向かってくる
トラックをみて、驚いて戻ろうとしたが間に合わず、
美紗さんの左側に衝突したと結論付けたのです。
民事裁判ではこの鑑定書の内容が争われ
そこで、白倉さんは衝撃の事実を知ることになります。

【運送会社の事故報告書】
これはトラックを所有する運送会社が国土交通省に提出した事故報告書です。
刑事裁判では、82.7キロ以上のスピードが出ていたと認定されましたが
国土交通省への報告では60キロと記載されていました。
また運転手の違反歴などを偽っていたのです。
裁判でも新たな事実が次々と明らかになりました。
証人として裁判に出席した警察官はこう証言しました。
「本当、恥ずかしい話ですけど気付かなかったと言うしか」
事故直後の現場検証で最初にできたトラックのタイヤ痕を見逃していたのです。
そしてトラックの運転手もこう証言しました。
「衝突地点が分からない中でどうしても言えと警察官に言われ示した。
 大体この辺だったかなという感じで」
無理やり衝突地点を言わせ警察官が調書を作成するなど
当時の捜査の問題点が法廷で次々と明らかになったのです。

白倉さん夫妻が動かなければ白日の下にさらされることはなかったであろう事実。
真相を追い求めた裁判は、先週、結審し、判決を待つのみとなりました。

「きちんと証拠を見てもらえれば、わかってもらえると思うので、
 いい判決 が出ることを望んでいます。」
もし、美紗さんが生きていれば、ことし成人式を迎えていたはずでした。
両親の5年間にわたる執念は実を結ぶのか、判決は、3月5日に言い渡され、
白倉さんの真実を知る戦いが節目をむかえます。




毎日新聞 2009/3/5
民事裁判判決公判
運転手過失割合、95%


 空知管内南幌町で03年9月、自転車で通学途中だった町立南幌中3年、
白倉美紗さん(当時14歳)がトラックにはねられ死亡した事故を巡り、
両親が男性運転手(48)=北広島市=に損害賠償を求めた民事訴訟で
札幌地裁は5日、運転手の過失割合を95%と認定し約5800万円の支払いを命じた。
橋本修裁判官は「運転手の重大な速度違反や運転操作の誤りに起因する事故」と判断した。
 判決後、母裕美子さん(39)は
「大幅な速度超過や警察の初動捜査の不備を判決で認めてもらったので、美紗にしっかりと報告できる」と話した。
道警は当初、美紗さんの飛び出しが原因とみていたが、両親の要請に基づく再捜査の結果、
地検は運転手の過失が問えると判断し在宅起訴。運転手は執行猶予付きの有罪判決が確定した。【芳賀竜也】




北海道新聞 2009/3/5
南幌中3死亡事故
運転手ら5800万円賠償
札幌地裁判決「重大な速度違反」

空知管内南幌町で二〇〇三年九月、同町の中学三年生白倉美紗さん=当時(14)=が
トラックにはねられ死亡した事故で、業務上過失致死罪で禁固三年執行猶予五年の判決が
確定した北広島市の運転手(48)と運転手が勤めていた運輸会社に対し、
遺族が約七千五百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が五日、札幌地裁であった。
橋本修裁判官は「重大な運転操作の誤りがあった」として、約五千八百万円の支払いを命じた。

この事故は当初、美紗さんの飛び出しが疑われたが、
両親が独自に調査して検察に働きかけ、札幌地検岩見沢支部は〇五年十二月、運転手を起訴した。
検察は時速九十五キロ以上の速度と主張したが、一、二審判決は、時速約八十キロ前後で
「暴走とまではいえない」として猶予判決を言い渡した。

橋本裁判官は判決で、加害車のブレーキ痕などから車両速度を時速約九十キロと
認定。運転手側が主張した約八十三キロを上回る「重大な速度違反」と判断した。

一方で、判決は「加害車両の動静に十分注意すべきだった」として美紗さんの過
失も認め、過失割合を5%と認定した。

五日記者会見した母親の裕美子さん(39)は、この日の判決の速度認定を評価
しながらも、「美紗にも一部過失があるとされるなど、納得できない面もある。
初動捜査の不備が今も影響している」と話した。




【STVの放映内容】

交通事故で亡くなった娘に落ち度はあったのか、両親の訴えに裁判所が判決です。
6年前、南幌町で女子中学生がトラックにはねられ死亡した事故で、
札幌地裁は運転手などにおよそ5800万円の損害賠償を命じました。
果たして両親が納得する判決となったのでしょうか。

娘の遺影と遺骨を胸に抱き裁判所を訪れた白倉博幸さんと妻の裕美子さん。
6年前、白倉さんの長女、美紗さんはトラックにはねられ亡くなりました。
刑事裁判では、トラックのスピードを82.7キロ以上と認定しました。
しかし暴走とは言えず、美紗さんにもわずかながら落ち度があったとして、
運転手に執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。
娘にどのような落ち度があったと言うのか…。
白倉さんは判決に納得することが出来ず、民事裁判での真相究明に乗り出しました。

3年にわたる民事裁判では事故直後に警察官がトラックのブレーキ痕を見逃していたことや
記憶があいまいな運転手に無理やり衝突地点を言わせて、調書を作成するなど、
捜査の問題点が次々と明らかになりました。
(小林記者)「きょうの裁判では、被害者である美紗さんの落ち度について、
裁判所がどのような判断を下すのかが注目されます」

きょうの判決で札幌地裁は、トラックの速度をおよそ90キロと認定、
警察の初動捜査の不備も認めましたが、
現場は見渡しの良い道路で接近するトラックに気付くことはでき、
美紗さんにも、5パーセントの落ち度があったと指摘しました。

独自の調査によって民事裁判で新たな事実を明らかにした白倉さん。
損害賠償も勝ち取りましたがもっとも望んでいた、
「美紗さんに落ち度はない」という訴えは認められませんでした。
(白倉裕美子さん)「警察の捜査の不備を表に出せたこと、自分たちのやってきたものが
一部であっても認められたことはしっかりと美紗に報告できる」

なぜ事故は起きたのか、その真相を知るために、白倉さん夫妻が費やした6年。
あらゆる手を尽くして明らかにした数々の事実。
遺族が事故の真相を知ることがいかに難しいか、白倉さんの裁判が示しています。





2009/05/17 北海道新聞

輪禍の悲惨、苦しみ訴え
被害者の会 札幌で交流会


 北海道交通事故被害者の会(前田敏章代表)の総会と会員交流会が十六日、札幌市のかでる2・7で開かれ、
被害者や遺族らが事故後も続く苦しみや、現在の捜査や司法が抱える問題点を訴えた。
 同会は、交通事故の被害者や遺族が一九九九年に結成。会員の交流や事故撲滅に向けた運動を展開している。

 交流会では、二〇〇三年に長女美紗さん=当時十四歳=がトラックにはねられ亡くなった、
空知管内南幌町の白倉裕美子さん(39)らが体験を語った。
白倉さんは「民事裁判では、五年半にわたり集めた物証や主張がほぼ認められたが、
車の速度超過を予測しなかった娘にも過失があるとした司法判断はおかしい」と指摘。
「車優先社会を変え、被害を食い止めないといけない」と訴えた。
 このほか、総会では《1》救命救急体制の充実《2》公正な裁判と科学的捜査の確立
《3》交通犯罪の厳罰化-などを柱とする国への要望書を承認した。(堂本晴美)

【写真説明】交通事故撲滅を願い、被害者や遺族らが体験を語り合った交流会



2009/06/07, 朝日新聞
短縮化する審理, 真相究明可能か





【連載】命のリレーは今~臓器移植改正案を問う(中)


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2009(平成21)年723日(日)
NHK
国際被害者学シンポジウムin茨城県水戸市

世界各国の専門家などが参加して犯罪被害者や遺族への支援のあり方などを考える
「国際被害者学シンポジウム」が、23日から水戸市で始まりました。
このシンポジウムは、事件や事故などに巻き込まれた被害者や遺族の支援のあり方や
課題を考えようと3年ごとに世界各地で開かれていて、
ことしは水戸市に世界54の国と地域の専門家などが集まりました。

開会式では、犯罪被害者の支援に取り組むタイのパチャラキティヤパー王女が講演し、
「被害者を守る国際的な基準を作るために、世界が歩調をあわせていかなければならない」と訴えました。

続いて、全国犯罪被害者の会の代表幹事で弁護士の岡村勲さんが
「心身ともに大きな被害を受けた被害者や遺族が声を上げること
 がどれだけたいへんなことか、身をもって知っています。
被害者のための法整備を進めてもらいたい」と訴えました。

「国際被害者学シンポジウム」は水戸市の常磐大学で今月28日まで行われ、
期間中、各国の担当者が被害者支援の現状や課題などを報告することになっています。

遺族の意思 裁判に反映を
去年始まった被害者参加制度の意見交換会が、24日水戸市で開かれ、
全国で初めて裁判に参加した遺族が
「被害者や遺族の意見や要望を裁判にもっと取り入れる必要がある」などと述べました。
この意見交換会は、水戸市の常磐大学で23日から始まった
「国際被害者学シンポジウム」の一環として開かれ、事件の遺族が出席しました。

被害者参加制度は去年12月に始まり、被害者や遺族が裁判で被告に直接質問したり、
刑の重さについて独自に意見を述べたりできるようになりました。

意見交換では、6年前長女を交通事故で亡くした北海道の白倉裕美子さんが
「以前は裁判の日程も教えてもらえず、娘の裁判なのにただの傍聴人で終わり無力感でいっぱいでした。
 新しい制度で被害者や遺族が権利を行使できるようになることを願っています」と述べました。

一方、弟を交通事故で亡くし、ことし1月、加害者の運転手の裁判に全国で初めて参加した東京の岩切貴宏さんは
「被告に直接思いを伝えられたのはよかったが、自分たちが引き出した答えが検察官の求刑に反映されなかったのは残念だった。
 被害者や遺族の意見や要望を裁判にもっと取り入れる必要がある」と話していました。