06年3月31日
UHB   スーパーニュース

(特集)
刑事裁判の迅速化を目的に導入された公判前整理手続。
    公判前に争点を整理する制度だが、手続は「非公開」で行われる。
    道内2例実施されている制度の課題や、いち早く真実を知りたいと願う
    被害者の思いを追った。



06年6月1日
北海道テレビ放送(HTB)  イチオシ!

(特集)
全国でも異例・・・娘の遺骨を胸に法廷に・・・
    トラックにはねられて娘の命を奪われた親の思い「真実を明らかに」


06年7月27日
HTB   イチオシ!

(特集)
捜査のあり方を追求し続けた親の苦悩・・・娘の遺骨を持って法廷へ・・・
     真実を知りたい・・・・判決。
  

2006/1/28
「読売新聞」道内版 

公判前整理手続き適用
地裁岩見沢支部
南幌の死亡事故被告に


2003年9月に空知南幌町の町道で、通学途中の南幌中3年白倉美紗さん(当時14歳)が
トラックにはねられ死亡した事故で、
札幌地裁岩見沢支部は27日までに、業務上過失致死罪で在宅起訴された
元運転手荒川周一被告(45)(北広島市西の里東)の公判に、
公判前整理手続きを適用すると決めた。道内での適用は2例目。
 公判前整理手続きは、初公判前に裁判官と検察官、弁護士が集まり、争点を整理し、審理計画を立てる。
非公開で行われ、検察側は従来より幅広く証拠を開示し、弁護側も主張を明確にすることが求められる。
 道内では、札幌地裁が昨年12月に、危険運転致死と覚せい剤取締法違反の罪で起訴された
小樽市の男(41)の公判に、公判前整理手続きを道内で初めて適用。現在協議が進められている。



2006/03/16 「北海道新聞」
危険運転致死事件で道内初適用 公判前手続き
スピード審理 懸念も
被害者 争点いかんで疎外感
弁護士 時間なく多忙極めた


 昨年十一月から刑事裁判に導入された「公判前整理手続き」が道内で初適用された
危険運転致死・覚せい剤取締法違反事件は、
十五日に札幌地裁で判決があり、初公判から二週間で一審の審理を終えた。
「裁判の迅速化」との目標は達した一方、争いのある点に重点を置く審理の進め方などについて、
弁護士や犯罪被害者から懸念の声が上がっている。
 十五日の判決は、昨年十一月に札幌市手稲区で起きた死亡交通事故などで、
危険運転致死と覚せい剤取締法違反(使用)の罪に問われた小樽市の無職男性被告(41)に対して行われた。
裁判長は「被告が自ら覚せい剤を使用した可能性を指摘した知人の証言は信用できない」と
覚せい剤取締法違反について無罪とし、
危険運転致死罪のみを認定、被告に懲役六年(求刑・懲役十年)を言い渡した。

 長女の死亡事故をめぐる加害運転手の公判が現在、
同手続きに付されている空知管内南幌町の農業白倉博幸さん(34)夫妻は、
先行するこの裁判で制度の実態を確かめようと、同地裁に何度も足を運んだ。
公判の進行に「一体、何の事件の審理をやっているのか」と疑問が膨らんだ。
 事件は死亡交通事故の加害運転手の刑事責任が問われたはず。
しかし目の前で繰り広げられたのは、覚せい剤の話ばかり。
「事件の核心は事故で人一人を死なせたことだ。なぜ余罪ばかり調べるのか」。白倉さんは戸惑った。
 この裁判は同手続きにより、弁護側が危険運転致死罪について争わず、
「覚せい剤の故意使用があったかどうか」に争点が絞られていた。
このため三回行われた公判のほとんどが覚せい剤事件に費やされ、
事故についての審理はわずか十数分だけ。
白倉さんは「この手続きは事件の本質を置き去りにし
、真相究明を望む被害者の立場をないがしろにするのでは」と懸念する。

 札幌高裁によると、道内の覚せい剤取締法違反の否認事件は昨年一-十月の平均で、
起訴から判決までの期間が五・九カ月、公判回数は六回。
今回の事件はそれぞれ四カ月、四回と短縮された。
しかし被告の弁護人の田村智幸弁護士は、「特に公判が始まってからは多忙を極めた。
裁判所の判断次第では公判が『セレモニー』と化す恐れがあった」と、スピード審理の弊害を指摘する。
 公判は被告と対立する証人尋問の翌日に被告人質問を行うなど、時に連日行われた。
田村弁護士は証人尋問の内容から、被告の携帯電話の発信履歴を徹夜で検討し、
翌日の被告人質問を通じて、当時は覚せい剤を未入手だったことを裏付けた。
「普通の裁判ならほぼ一カ月間隔で開廷され、じっくり検討できるが、今回はぎりぎりだった」と話す。
 一方、札幌地検は「裁判所も弁護士も初めてで、不慣れな点はあったが、
手続き自体に問題はなかった。公判で必要な立証は十分尽くした」としている。



2006/05/02 「毎日新聞」

事件の全て知りたいのに
公判前整理手続き導入半年
.pdf へのリンク





2006/05/16 北海道新聞

札幌地裁岩見沢支部・業過致死事件
「公判前整理手続き」長引き…
起訴から5カ月 公判始まらず
「迅速化に反する」元裁判官/「時間かけていい」北大大学院教授


 札幌地裁岩見沢支部で、業務上過失致死の罪に問われた元トラック運転手の公判が、
起訴から五カ月以上も始まらない異例の事態となっている。
事件に公判前整理手続きが適用され、争点整理が長引いているためだ。
裁判迅速化を目的に導入されたばかりの同手続きが、逆に長期化を招いている格好で、
専門家からは、そのあり方をめぐって賛否両論が出ている。
 公判前整理手続きは、刑事裁判で初公判を開く前に、検察側、弁護側、裁判所が公判の論点について話し合い、
争点を整理するのが目的。
裁判員制度が導入されるのを前に公判の迅速化を図ろうと、昨年十一月に導入された。
適用するかどうかは事件ごとに裁判所が判断する。重大事件で適用される例が多く、
業務上過失致死事件に適用されるのは珍しい。
 岩見沢の裁判の被告は北広島市の男性(45)。
二○○三年九月、空知管内南幌町で自転車の中学三年生白倉美紗さん=当時(14)=が
トラックにはねられ死亡した交通事故をめぐり、
業務上過失致死の罪で在宅起訴された。

 同様事件では通常、起訴から一-二カ月で初公判が開かれるが、
今回の被告は昨年十二月二日に起訴されたのに初公判の日程も決まっていない。
 関係者によると、弁護側が事故時のトラックの速度などを否認し、
公判の長期化が予想されるため、整理手続きが適用されたとみられる。
 美紗さんの父で南幌町の農業、博幸(34)さんは
「事故から二年三カ月もたってようやく起訴され、法廷で真実が明らかになると思ったのに、
半年近くも非公開で(整理手続きが)進められている」といらだちを隠さない。
 岩見沢支部での整理手続きはまだ三回しか行われていない。
元裁判官で公判前整理手続きに反対している生田暉雄弁護士(香川)は岩見沢支部の対応について、
「裁判迅速化の目的に反しており、異常な訴訟指揮。地方の支部で適用すること自体、疑問」と批判する。
その上で、「争点整理後の公判は、実質のない抜け殻のような裁判となる。
犯罪被害者基本法で定められた被害者の権利を無視するに等しい」と話している。
 ただ、北大法科大学院教授の中山博之弁護士(札幌)は、
「争点整理は時間をかけてもいい」と岩見沢支部の対応を評価する。
岩見沢支部は長期化の理由について「回答は差し控えたい」としている。


2006/05/20 北海道新聞

遺骨、法廷持ち込みOK
地裁岩見沢支部、両親の要望くみ
  

 
【岩見沢】二○○三年九月、空知管内南幌町で同町内の中学三年生白倉美紗さん=当時(14)=が
トラックにはねられて死亡し、
業務上過失致死罪に問われた男性(45)の公判で、札幌地裁岩見沢支部(岡部豪裁判長)は
十九日までに、両親が美紗さんの遺骨と共に公判を傍聴することを認めた。
遺骨の法廷への持ち込みを認めるのは、全国的にも極めて異例という。

 両親は「未成年の間は親元に居させてあげたい」と、美紗さんの遺骨を納骨せず、自宅に安置してきた。
今年二月、札幌地検岩見沢支部を通じて美紗さんの遺骨の傍聴席の確保を要望し、同支部が認めた。
同支部は今回の判断について「裁判長の裁量で認めることにした」としている。

 裁判は、争点を事前に整理する公判前整理手続きが進められ、六月一日に初公判が開かれる。

 法廷への遺影などの持ち込みは、「被告人に精神的な圧力がかかる」とする法曹関係者が多かった。
しかし、ここ数年、犯罪被害者の権利確保の観点から遺影持ち込みを認める例が増えており、
最近では長崎県で位牌(いはい)の持ち込みを認めたケースもあった。

 ただ、遺骨の持ち込みは、希望者が少ないこともあり、日弁連犯罪被害者支援委員会の番敦子副委員長は
「全国で初めてではないか」という。
父親の博幸さん(34)は
「美紗本人に、事故の事実が明らかになる裁判をきちんと聞いてほしかった。
傍聴を認めてもらえてうれしい」と話している。



2006/06/02 北海道新

南幌の中3交通死訴訟
遺骨持ち込み初公判
地裁岩見沢支部、遺族「判決一緒に」
 

 【岩見沢】二○○三年九月、空知管内南幌町の道道交差点で中学三年生白倉美紗さん=当時(14)=を
トラックではね死亡させたとして、
業務上過失致死の罪に問われた北広島市西の里東一、無職荒川周一被告(46)の初公判が一日、
札幌地裁岩見沢支部(岡部豪裁判長)で開かれ、
美紗さんの両親が遺骨と遺影を持ち込んで傍聴した。
遺骨持ち込みは裁判長の判断で認められたが、全国でも極めて異例。

 道内二例目の公判前整理手続き適用事件で、二月から計四回、
裁判官立ち会いの下で検察官と弁護士が争点や証拠を整理してきた。
荒川被告は罪状認否で、
「速度は時速九十五キロではなく七十キロ程度だった」などと起訴事実を一部否認した。

 美紗さんの両親は美紗さんの遺骨と遺影を携えて傍聴した。
南幌中の同級生が卒業記念に作った美紗さんを含むクラス全員の名前入りTシャツとショールなどで
くるんだ遺骨を抱えた母親の裕美子さん(36)は
公判後、「これからも美紗と一緒に裁判に通い、判決を見届けたい」と語った。

 起訴状によると、荒川被告は○三年九月一日、南幌町の交差点で
法定速度を四十五キロ上回る時速約九十五キロでトラックを運転中、
自転車で通学途中の美紗さんをはねて死亡させた。

<写真:白倉美紗さんの遺骨を抱え札幌地裁岩見沢支部に向かう、
母親の裕美子さん(左)と遺影を持つ父親の博幸さん=1日午後、岩見沢市>

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交通事故から3年  裁判始まる

事故からまもなく3年。ようやく裁判が始まりました。
南幌町で女子中学生がトラックにはねられて死亡した事故で業務上過失致死の罪に問われた運転手の裁判が開かれました。
死亡した女子中学生の両親はどんな思いで裁判に臨んだのでしょうか。

南幌町の白倉博幸さんと妻の裕美子さんです。娘の遺骨を胸に抱え裁判所を訪れました。
2003年9月、白倉さんの長女・美紗さんは、自転車で学校へ向かう途中、トラックにはねられ死亡しました。
警察は当初、「美紗さんが道路に飛び出しだ」のが原因としてトラックの運転手に過失はなかったという判断を示しました。

(白倉さん)「だからどこでぶつかったのよ」
美紗は悪くない。白倉さんは、なぜ事故が起きたのか、自分たちで調査を進める一方、警察に再捜査を要請しました。
その結果、去年12月、スピードの出しすぎと前方不注意でトラックの運転手が業務上過失致死で起訴されました。白倉さんの執念でした。
そしてきょう、1回目の裁判では運転手が出していたスピードと、美紗さんをどこではねたか、この2つが焦点となりました。
裁判で運転手は過失を認めましたが、美紗さんが車道のセンターライン付近を走っていたためにはねてしまったなどと起訴事実の一部を否定しました。
これに対し検察は、運転手がスピードを90キロ以上出していたこと。また、歩道にいた美紗さんをはねたと指摘しました。
(白倉さん)「最後に見ているのは本人。真実を話して欲しい」
「なぜ事故は起きたのか」、「いったい何が本当なのか」、この疑問が裁判で明らかになるのか、白倉さんは不安を胸に裁判所を後にしました。

(2006年6月 1日(木)STV「どさんこワイド180」より)

2006/07/14 北海道新聞

公判前手続き2例目
中3交通死訴訟結審
地裁岩見沢支部

 
【岩見沢】二○○三年九月、空知管内南幌町で中学三年の白倉美紗さん=当時(14)=をトラックではね死亡させたとして、
業務上過失致死の罪に問われた北広島市西の里東一、無職荒川周一被告(46)の論告求刑公判が十三日、
札幌地裁岩見沢支部(岡部豪裁判長)で開かれ、検察側は禁固三年を求刑し、結審した。

 判決は二十七日で、道内二例目の公判前整理手続き適用事件は六月一日の初公判から約二カ月で結論が出される。
全国でも異例の法廷への遺骨の持ち込みが認められ、
白倉さんの両親は初公判から結審まで五回の公判に美紗さんの遺骨と遺影を持参して傍聴した。
 論告などによると、荒川被告は○三年九月一日、
南幌町の道道交差点で法定速度を四十五キロ上回る時速約九十五キロでトラックを運転中、
自転車で通学途中だった美紗さんをはねて死亡させた